[ストーカー転じて]前ページ


僕は何もしていない。「今針かなんか背中に刺したでしょ!」と怒っている。
「なんのことだよ?どこ?」背中をみた。押しピンが刺さっていた。
家着のトレーナーごしだったのでそれほど深くは刺さっていないようだ。
次に彼女は「なんか吐きそう・・・・気分悪い・・・。」と言い出した。
「まさか」と思い僕は立ちあがろうとした。が、足に力が入らない。
そういえば僕も気分が悪い。
次の瞬間、2度にわたって聞こえたドアを殴りつける轟音が
バァン!!バァン!!バァン!!と何回も聞こえ出した。
トイレからはボコボコボコボコッ!!という水が沸騰するような音が聞こえた。
「成仏してねぇじゃねぇかよ!」彼女「うぅ・・・・なんのこと?」
僕はKが来たと確信した.

二人とも立つ事もできない。
しばらくして彼女が「きゃぁぁぁぁぁ!」と激しい悲鳴をあげた。
布団をかぶりうずくまり、「ベランダ!!ベランダ!!」と叫んだ。
ベランダを見ると、窓にべったり貼りついた人影が見えている。(曇りガラスだった)
Kか!?と思ったがシルエットは男のようだった。ピクリとも動かない。
次にまた彼女が悲鳴をあげた。「何これぇぇ!!いやぁぁ!」と布団の中でじたばたしている。
「なんなの!?なんなのぉ〜〜〜!!」と言い彼女は吐き出してしまった。
たまりかねた僕は彼女を抱きしめ、「大丈夫だ。大丈夫。守ってやるから。」と言った。
僕は恐怖より怒りが沸いてきて、「いい加減にしろ」と言葉が漏れなんとか体を自由にしようと
体に力を込め気持ちを落ち着かせた。動く。と同時にベランダの影が消えた。

彼女に「落ちつけよ」と言い残し玄関に走った。
そしてドア越しに外に向かって、
「ふざけんな!!消えろ!!誰がお前のもんになるか!!消えろ!!」と叫んだ。
「地獄に落ちろK!!つーか地獄に落としてやっからな!!」僕は狂ったように叫んだ。
その後彼女の方を振り返ると、うずくまっている彼女を真横で四つん這いになって見ている
Kがいた.
「やばい」と思い彼女の方に向かおうとした。
その時、ドアの方から手が伸びてきて僕の服を掴んだ。
僕はその手を骨が折れるくらいに捻り曲げた。
すると「ぎぃぃぃぃぃぃぃぃぃ!!」という嫌な叫び声が聞こえ、
彼女の横にいたKがものすごい形相でこっちに向かってきた。

「なんだよ!!こいよ!!ぶっ殺してやる!!」と叫んで迎えうとうとした。
しかしその瞬間に目の前が真っ白になり、視界が回復すると
目玉がおぞましい模様になったKがまさに目の前にいて、僕に抱きついた。
そして、僕の耳元で何かささやき、(聞こえなかった.)そして消えた。
彼女はずっと泣いていた。
僕も怒りと恐怖と悔しさで、何年ぶりかの涙を流して、
こぶしから血が出るまでトイレのドアを殴りつづけた。
その日はそれからは何も起こらなかった。

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