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ところが、店員が来やしない……orz
 店には俺と女、二人っきり。もう帰ろうかな、と俺が思い始めた矢先、

「……aaaアアアアアアアアアアアあああああ……」

喉から絞り上げるように、女が声を発した。
( ゚д゚)ポカーン……としている俺に向き直った女は虚ろな眼差しでこう続けた。

「ごめんなさぁあい」

Σ(・ω・`ノ)ノ !? ……コ、コイツ キOガイカ? テラヤバス!!!
 さすがにビビって後ずさりする俺。女は買い物かごをレジに置いたまま
出口へ向かい、ゆっくり歩き出した。
 その歩き方が変だった。ガクンと突然前のめりになったり、足を閉じて
中腰で痙攣したり、酔っぱらいのように千鳥足かと思えば急に背筋を
のけぞらし大きく息を吸って、「……アアア……」と声を発したりで、
明らかに常軌を逸していた。

 と、そこに店員登場。中年のオッサンだった。
 店員「大丈夫ですか?」と声をかける。
 おれは相変わらず( ゚д゚)ポカーン……ヘタレ杉。
 女は「……はい……」と軽く頷き、店から出て行った。

 レジに放置された買い物かごの中には、単3電池のお買い得パック
(12本? 20本?)と、食パン、牛乳、その他はいくつかあったが覚えていない。
店員が面倒くさそうに棚に戻していた。
 結局ダイエットコーラの箱は品切れで、陳列棚に残ったバラ売り品のみ
とのことで、帰宅することに。

 俺は店の裏手に停めておいた車のエンジンをかけ、店に面した路地に

出ようとハンドルを切った。そのとき、ライトが照らした光景に俺は思わず
「うあ」っと声を上げた。
 正面にあの女が立っていた。
 女はただ立っていたのではなかった。携帯電話を耳に当てながらなにやら
話していた。足を開き、下腹部をこちらに突き出すようにコートを広げていた。
中は全裸だった。いや、厳密には服ではないものを身にまとっていた。
ライトに照らされた白い肌に、縄が蜘蛛の巣のように巻き付いていた。
 女は若干恥じらう様子で、片手で股間をまさぐりながらうっすらと笑みを
浮かべていたように思う。
 俺は周囲を見渡した。あるのは団地(店が団地の中にある)、路駐の車が数台、
月も見えない暗く重い夜空……女は俺の車をとおせんぼする位置に立って
いたので、女にぶつからないよう注意しながら道の端ギリギリを通るように
通過し、その場を去った。

 嫌な気分だった。遊ばれていたのだ。
 路駐していた車か、団地の窓か、どこにいたかはわからないが、
第三者が女に命令をしていたことは容易に察しが付いた。

 実話なのでオチはない。
 今夜、ダイエットコーラの箱買いにあの店へ行く予定。


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