[万引き]

万引きをやめられない女がいた。
最初は「やめないと」と思っていたが、今ではライフワークとなっていた。

「もう細々と万引きするのではなくでかいものを盗んでやろう」
女は心に決めデパートに向かった。

4F、エレベーターのすぐ近くの宝石売り場。店員はのん気におしゃべりをしている。
ディスプレイ(お試しで首にかけられる)の真珠のネックレスに決めた。

「エレベータがあいたとたん首にかけて乗ればいい」
・・・ついている日だ。

エレベーターが開いた。女は少しきつめのネックレスを首にかけエレベーターに乗る。


そのディスプレイのネックレスは盗難防止としてピアノ線が繋がっていた。
なぜそこまで気が回らなかったのだろう・・・。

ついている日と信じ込んだ女を乗せたエレベーターは1Fへ向かう。
ピアノ線が「ピンッ」と張る。
その瞬間降りていったエレベーターから獣のようなうめき声が轟き・・・。


ついていた日なのに・・・。

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