[山中の雪道で]
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車はすべる雪道をものともせず
猛スピードで山道を駆け抜けた
普通、スピードを上げると余計に
タイヤが滑るものだが、不思議と安定し始めた
恐る恐る後ろを振り返ってみると
ウィングにしがみついていた女は振り下ろされたか
その場にはいなかった
と、安心しきっていた俺等を
彼女の「キャー」と言う声で眼を覚まさせた
彼女の横の窓ガラスにその女が映っていた
女は走っていたのだ
時速60キロは出ている車に
走って追いついてきたのだ
一瞬ちらっとこちらを向いたその顔は
にたにたと笑っていたのを覚えている

俺達はどうなるんだろうと思っていた矢先
あまりの恐怖に友達が車のブレーキをかけた
雪道でスピードを出し、急ブレーキをかけたんだ
普通は車がすべる
しかし
ABSを搭載していたせいもあり
車は安全にとまった
気が付くと女は僕等の目の前にいた
友達は「うわー」っといいながら
アクセルを目いっぱいふみ女に向かっていった
女に車が接触する!と思った瞬間
女はまたにたにた笑っていた
しかも、当たった感触も轢いた感触もなかった

僕等はずっと続く恐怖に耐え、車を走らせた
どれくらいだっただろうか?
車は市街地についた
僕ははじめに見つけたコンビニに入ろうと
友達に言うと、ほどなく一軒目を発見し
コンビニに入ろうと右折をした
しかし、右折をしようと車を減速しようとしたその瞬間
バツンと音がした
チェーンが外れたのだと思い
コンビニにつくと僕等はタイヤを見た
そこには女性と思われる大量の髪の毛が
ゴム製のチェーンに絡まっていた

その後僕等は何ともない
スノボに行ったメンバーに霊感がある人も
一人もいなかった
二度とあの三○峠には近づきたくない

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