[元彼女の生霊]

3年ほど前のある日、目の前の女性に「あなたに生き霊が憑いてるわよ。」と言われました。
それを聞いて僕は思わず、笑ってしまいました。

それより1週間ほど前、友人(Y)から電話がありました。
「知り合いに霊能力を持っている人がいるんだけど会ってみる?お前、そういうのに興味が
あっただろ。」
聞いてみると、Yの姉の友達にそういう人がいるとのことでした。
Yもその人とは昔からの知り合いで、たまに家へ遊びに行っているらしい。
霊能者(A)と僕とYのスケジュールを調整し、実際に会ったのが話を聞いた1週間後だったのです。

Aに僕を見てもらい、彼女が口にしたのが冒頭の「生き霊が…。」の言葉でした。
正直その時は「ははぁ、Yとグルになってビビらせようとしてんな。」と思いました。

生きた人間の霊が憑いている、なんて突飛なコトに思えたのです。
だから恐いとは思わず、面白がっていました。
「で、その生き霊はどんな感じの人なの…」と訊く僕の顔はニヤニヤしてたでしょう。
彼女はそういう態度には慣れているのか、気にする様子もなく、生き霊の特徴を語り始め
ました。
女性。若い。多分20才前後。髪は長い。一重まぶた。首に小さいけど痣がある…。
それを聞いた時、イヤな汗がドッと出ました。その女のコト、知っている…。

その女のことをYは知りません。Yには話していません。と言うことはAも知らないはずです。
「…その女のこと、知ってるよ。半年くらい前に振った女だと思う。」
僕の声はかすれていました。

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