[ランニング]

高校時代の頃の話です。

バスケ部だった私は、次の日がインターハイ予選ということもあり、
緊張からか全然寝付けませんでした。
早く寝ないと!と思えば思うほど、眠れずに時間だけが過ぎて行きました。

・・・3時頃、全然眠れず、というか眠くもなく、とにかく頭の中は
明日の試合のことと、早く寝なければの二つだけでした。
軽く汗を流して強引に寝ようと思い、赤いTシャツに着替え、
外を走ることにしました。

20分程度走ったでしょうか、梅雨時ということもあり外は異常にジメジメしていました。
程よく疲れて来たし、早くシャワーも浴びたかったので、近道をしようと思い、
普段のランニングコースを外れて住宅街の中を通りました。

その住宅街はちょっとした森に面しており、真っ暗闇の中、左側の森と右側の住宅街
を挟む、細い遊歩道を走っていました。
その遊歩道に入ってしばらくすると、突然悪寒が走りました。
頭の中では嫌なこと(オバケとか・・・)を考え始めてしまいました。

ふと、自分の走っている足音がおかしいことに気づきました。
自分の走っている足音と、もう一つ明らかに違う足音が、
ペースを合わせようと、付いてくる感じで不規則に聞こえてくる!
小心者の私はとても怖くなり、走っている足を早めました。
当然、息も上がります。すると今度は自分の呼吸とは違うリズムの呼吸が
後ろの方から聞こえます。まるで犬に追いかけられているような感じ、と言っても
追いかけられたことはありませんが。。。

しかし、徐々に後ろから聞こえてくる呼吸がだんだん近くなって来ます。
だんだん、だんだんと・・・。変質者かな?とも思ったのですが、うなじのあたりに
生ぬるい呼吸を感じ、それは変質者どころか、人の呼吸とは思えませんでした。
ひどく土臭いのです。しまいには、吐息は耳元で聞こえます。

全身に鳥肌が立ちました。そして、恐怖に我慢できなくなり、ついに振り返りました。
しかし、そこには何も無く、呼吸も足音も、自分のものしか聞こえなくなりました。

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