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『ごぉ〜・・・わぁ〜・・・い゙ぃ〜・・・・・』。
低くて太くて、頭を振動させるようなあの声。

誰?誰が私が叫んだことを繰り返して言っているの?部屋には私しかいないのに?
彼女はもう一度叫んでみた。
『助けて!!』
でもまた声が出ていない。ほんのちょっとの間を置き聞こえてきたのは、

『だ〜・・・ず〜・・・げぇ〜・・・でぇ〜〜〜』。

違う!何で?私の声じゃないし、どうして後から聞こえてくるの?
『やめて!!』

『や〜・・・めぇぇ〜〜〜〜・・でぇぇぇぇ〜〜!!』
次第に大きくなるその声。

H子は、家族に助けを求めようと、再び叫ぼうとした。
『おかーさん!!!』

『おぉ〜!とぉ〜!!お〜〜!!ざぁ〜〜!んんーーーっっ!!!』

最後にその声は『おとうさん』と叫んでいた。
それに気づいたH子は、一瞬のうちに眠りに落ちていた。

H子さんが次に気が付いたときは、夕方だったそうで、
しかも、家族の話によると。明け方に眠ったままその時間まで寝てたって。
つまり、夜などは来るわけもないってことで、
彼女は昼間のうちにその現象と遭遇していたということになる。

H子さんの妹(私の友人)はその日、姉が隣で眠っていた間自分の部屋で本を読んでいたらしいんだけれど、隣の部屋が五月蝿いなーと思っていたとのこと。
ドスンドスン聞こえたり、姉が寝ぼけて『助けて』なんて言ってるのを
聞いて、「助けてほしけりゃ起きなさい」って思ってたって。
でも起こさなかったのは、男の人の声も何度か聞こえたから夜遊びして誰か連れ込んでるのかな?じゃれ合ってるのかな?
って思って、気を使ったそうな

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