[母親の怒り]
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母親は爪が薄く弱いため、いつも割れてしまうからと言う理由から爪は伸ばさない。
当時まだ若かったであろう母親だったが、その理由から爪を伸ばしたことはない。

誰だ?

と疑問に思った そのとき、今まで怒鳴り散らしていた 声の質が
伸びたテープの様にいきなりトーンダウンした。

この世のものとは思えない様な、響くような低い声に変わり、段々言うこともおかしくなってきた。

「なんで殺したの?」
「どうして殺したの?」
「どうして死んだの?」

に変わった。

やばい逃げなきゃと 思ったが、ここは二段ベッドの二階。
相手は二段ベッドから降りる、階段付近に立って怒鳴ってる。
いや、今は泣きながら訴えてる。

いままで怒られていたから動かなかったと思っていた体は、動かそうとしても動かない金縛りに変わってる。

やばい体が動かないと気づいたとき、一段と大きな声ではっきりと

「悪いと思ってるの?」
と顔を近づけて来た。

その顔は、髪の毛はバサバサで 肌は青白く、そして両目が無かった。

そこから俺は、意識が無くなった。
そして 朝?だろうか?昼だろうか?
気がついたら同じ状況で ベッドの上で立たされて母親に怒られてる。

今回違うのは、ちゃんと周りの音は聞こえてるし、何より明るい。
顔がちゃんと見えるのだ。間違いなく怒ってるのは母親。

「どうしてあんなことしたの?」
「何してたの?」
「どこいってたの?」
と問い詰められてる。


今回も今回で なんで怒られてるのか、判らなかったが ちゃんと聞いてみた。
俺は何をしたんだと。

そうしたら、「あんた ねぼけてたの?」っと話をしてくれた。


昨日の夜中2時ごろ、まだ起きてリビングにいた両親の前をすっと 俺が通ったらしい。
そのとき、両親はトイレに行くのかな?と思っていたらしいのだが、俺は、
「遊びに行って来る。」と、そのまま玄関から出て行ったらしい。
まさか、出て行くとは思って居なかったから止める暇が無く、あわてて玄関から出てその辺を探して見つからず、
家に帰ってきて警察に電話する前に、俺のベッドを見たら寝ていたらしい。

そのまま起こして事情を聞こうとしたが、俺が起きなかったのとスヤスヤ寝てるし、
自分たちも疲れていたので気がついたら寝ていたらしく
そのまま朝を迎えたところで、俺の叫び声で起こされたらしい。

結局、俺はねぼけていたから そのとき何をしていたのかわからない。
と言い訳し、この話は誰にもしていなかったのだが、ここに出してみた。
やばいのかな?この話。


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