[危険な好奇心]
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慎が
『おい!淳!しっかりしろ!んなわけねーだろ!』
と怒鳴りながら、釘で打たれた一枚の菓子袋を引きちぎった。
それを見て、淳は
『あー、ぁあぁ、、』
と奇妙な声を出し、尻餅を付いた。
その行動に俺と慎は呆気に取られたが、次の瞬間、
『うわっ!』
と、慎が手に持っていた袋を投げた。
『え?!』と俺がその袋に目をやると、袋の裏に
『淳呪殺』
とマジックで書かれていた。
俺は『まさか?』と思い、木に釘打たれたゴミを片っ端から引き剥がし、裏を見た。

『淳呪殺』
『淳呪殺』
『淳呪殺』
『淳呪殺』

すべてのゴミに書かれていた。

淳は口をパクパクさせながら尻餅を付いた状態で固まっていた。

慎が何気に周囲に落ちていたゴミを拾い、
『!おい!、これ!』
と俺に見せてきた。

『淳呪殺』

なんと、周囲に落ちているゴミにも書かれていた。

俺はその時、初めて気付いた。
『中年女』は更正なんて初めからしていなかったんだ。
ずっと俺達を怨んでいたんだ。
俺が病院で見掛けた、ゴム手袋をして必死で分別していたのも、淳のゴミだけを分けていたんだ!
俺達に『ごめんね』と言っていたのも全部嘘だったんだ。

俺は急にとてつもなく寒気を感じ、
【此処にいてはいけない!】
と本能的に思い、淳に
『おい!しっかりしろ!行くぞ!』
と行ったが、
『俺の、、ゴミ、。俺のゴミ、、、』
と、淳は壊れていた。発狂していた。
とりあえず慎と俺で淳を担ぎ、山を降りた。


あれから8年
あの日以来、もちろん山には行っていない。
『中年女』とも会っていない。
まだ俺達を怨んでいるんだろうか?
どこかで見られているんだろうか?
しかし、俺達三人は生きている。
ただ、
今だに、淳は歩く事が出来ない。


end


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