[錆びた槍]
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「たぶん、今日はちょっとだけビックリする事が起きるかもしれない。
けど、大丈夫だから。たとえそれが起きたとしてもそのままそこにいなさい。
もう大丈夫だから何が起きてもその場を離れちゃダメだよ」
って言われたの。俺は素直にハイって答えました。夜釣りも行く気になれなかった。
その後に坊さんはオサーンや爺ちゃんに話してた。オサーンが坊さんに
「大丈夫なんでしょうか。アイツは大丈夫なんでしょうか。心配です」
みたいな事を言っていたんだけど、坊さんは「大丈夫、その場を離れなければ」って言ってた。
案の定、爺ちゃんやオサーンに俺は念押しされて、坊さんからの言付けを必ず守るようにって
言われた。その後は普通に飯食って、楽しく花火をして、夏を満喫したんだよ。
まぁ怖かったから無理やり花火やって、楽しもうとしてたんだけどね。忘れたかった。

花火も終わり、お風呂も入ったし寝る事にしました。またオサーンに「早く寝ろは…」って言われたし。
で、寝ようとしたんだけど坊さんの言った事が気になってなかなか眠れなかったんだよね。
俺が寝ている部屋はちょうど物置部屋の斜め隣なんだけどさ。何でいつもは気にせず寝てるのに
流石にこの時ばかりはこの位置が気になって眠れないの。そしたら急にコココココ…って何かを
小刻みに何かに当たってる物置部屋のほうからから音がしだして壁のほうから聞こえてくるん
だよね、人間の声がボソボソって。それはどんどん増えて言ってあちこちから聞こえきだすの。
もう今でもちゃんと覚えてる。

「腹…腹…」
「やんた…やんた…生きて…生きてぇ…」
「腹…は…」
「死にたぐね…やんた…」
「腹…腹…」
「やんた…やんた…やんた…」
「お寺さ…やんた…」
「水っこはやんた…も…」
「腹…水っこは…」
「取ってけっつぇ…死にたぐね…生きてぇ…」

って声があちこちから聞こえてくるの。もう怖くて怖くて仕方なかった。発狂しそうだった。
けど坊さんの言付けを守らなきゃって頑張って自分に言い聞かせて、震えながら寝れずに
じっとしてた。声はやまなくてどんどん増えていったんよ。
そしたら俺の寝ている部屋でも何かがコココココ…て聞こえ出してさ、さすがにそれには閉じていた
眼を開けちゃって、その音の方向を見ちゃったんだよね。
そこにはさ、般若の刺繍(?)っていうか、そういった布で出来た飾りみたいなのが額縁に入れられて
あるんだけどそれが揺れてるんだよね。しかも、その般若の刺繍の眼のとこが動いてるの。
さすがに口を閉じたり閉めたりまではしてなかったとは思うんだけど、般若の刺繍のとこらへんからも
同じ言葉が出てきてるんだよね。「腹…腹…」、「やんた…水っこは…」って。
たぶん、それ見て気絶してました。気づいたら朝だったし。

ちゃんとそれを爺ちゃんと坊さんに言って、お寺でまたお経をあげてもらいました。
坊さんは褒めてくれた。爺ちゃんも褒めてくれた。よく頑張ったなって。


何か長くなってしまい、イライラさせてしまいましたが、こんな感じです。
俺が確かに体験して、今でもその話を帰省すると坊さんや爺ちゃんとします。
で、ちゃんと拝んで過ごしています。取り合えず、ここで終わりますが、
何か聞きたいことあったらどうぞよろしくです。

続く