[家族の奇行の真相]
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めっちゃ気持ち悪くて、両親のほうを見たら、これまた両親も無表情で涙を
流してます。もう完全に放心状態…。よく見ると口元が微妙に動いてて
何を言っているのか分かりません。「ぁ……ぃ」聞き取れてこの程度でした。
その瞬間、自分の周りの景色が真っ赤になり、徐々に色あせてセピア色になって
意識が…なくなる…と思ったら、いきなり周りの景色が一変してました。
どっかで見覚えあるような…と思ったら従兄弟の家でした。
深刻そうに叔父が俺の顔を見ています。

「え…何でここにいんの??」全然事態が飲み込めません。
そのうちぞろぞろと周りの人たちが集まってきました。
最初は「今までのは全部夢だったのか??」と自分で推測してましたが、叔父の家にいる
経緯が全く分からないし、なぜか祖父母もいるし、あちこち包帯だらけで、完全に
パニック…。
「記憶がないならないほうがいいんじゃないか??」とか祖父が言ってたのですが、
叔父は「こいつには何があったか話しておかんとならん。まだ犯人も捕まってないし、
1週間後にまた警察の人が来るだろう」ってな具合で叔父から全貌を聞いた。
僕の家族は1月1日に何者かの放火にあって全焼したようです。

僕はたまたまコンビニに行っていたので、助かったみたいなんですが、
犯人と思われる人を見たために、後頭部を殴られ、全身をバットかなんかで
めったうちにされて、記憶を失ってしまったそうです。
搬送先の病院でずっと生死をさまよった後、回復してから叔父の家に引き取られた
そうです。そして今は3月…2ヶ月も記憶を失ったまま、リハビリを続け、たった
今、記憶が戻ったとのことでした。

僕は号泣しました…。いっぺんに大切なものを失ったのを、2ヶ月も過ぎてから
分かり、ただただ泣きじゃくる顔を、祖父母と叔父に見られていました。
叔父は黙って目を反らしていましたが、祖父母たちももらい泣きして、わんわん
泣き続けていました。
体中には青あざが無数にあり、包帯がミイラのごとく巻いてあり、節々が曲げるために
チリリとした痛みが走りました。

なぜか真冬の真夜中に全部の窓が開いてあったこと、無表情で固まりあう家族、
見知らぬ男に殴られる悪夢、突然真っ赤になった景色…まるでジグソーパズルの
ように謎がピシピシとはまっていきました…。
結局、犯人はいまだに捕まっていません。そして、背中の包帯を取ったときに
僕の青あざが残る背中には、弟の手のひら状に無傷だった跡がありました。
事件から5年経ち、あざが消えるのと共に、その手のひらの跡も消えてしまいした…。

長々と下手な長文すみません。僕にとっては忘れられない事件です。
話自体は怖くないと思いますが、犯人が未だに捕まっていないことを考えると
僕はそっちのほうが恐ろしいです。


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