[和菓子屋の取材]
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「え!?…お店の方は?」
「みんなそれで焼け死んじゃったと思うけどなあ」
「…それで今はその場所、どうなってるんですか」
「そのあと新しく家は建って誰かしら引っ越して来たんだけど…
 いや、まあ、その家族なんだかで長くしないうち引っ越しちまったから、
 いまは空き家だよ。しかしタチの悪いイタズラだなあ」
空き家…先程の家かもしれませんが、視線を感じたこともあり、
確認するのが恐かったので、おじいさんにお礼を言い、
そのまま編集部に帰りました。帰って来ていた編集長に事の経緯を話し、
例の封筒を見せようとカバンの中をあさりましたが、なぜか無いんです。
どこかに落としたのかもしれません。車の中か?と戻ろうとすると、
「多分無いと思うよ、それ」と編集長に引き止められました。

「5、6年前かな。俺が新人の頃さ、同じようなことがあったんだよな。
 そこに行ったのは俺じゃなくて先輩だったんだけど」
「あ、そうなんですか。行ったのはどなたですか?」
「いや、もういない。取材に行ったきり帰ってこなかったんだよ。
 ××町の和菓子屋さん行くわってふらっと出掛けたっきり。
 当時はけっこう大騒ぎになったんだよね。車ごと消えたから。
 先輩も車も、結局見つからなくてさ。
 で、俺は先輩が行く前にその封筒も中身も見たんだけど、
 お前が言ってたのとだいたい同じ感じだったかな。
 先輩のは確か「きてください」としか書いてなかったんだけどね。
 もちろん、いたずらかもしれないけどさ。気味が悪いよなあ。」

…その後、車の中を探しましたがあの封筒は見つからず…。
誰があの封筒を送って来たのか、なぜその先輩が消えたのか、
私が呼ばれたのはなぜなのか…結局わからないままです。
それから3年たちましたが、郵便が届くたびにあの封筒が来ないか、ビクビクしています。


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