[貧困の国]
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やがて月日がたち、当初の目的を果たした私は日本へ帰ることになった。
帰国した私は、真っ先にT氏に連絡を取り、会う約束を取り付けた。
T氏は私を見るなり、何かに気付いたようで、深いため息をついて言った。
「ご愁傷様だな。」
私は少し間をおいてT氏に尋ねた。
「あなたも、あそこで同じような体験をしたんですね。」
「ああ、私の時は男の子だったよ。赤い地雷だった。」
「・・・その後は?」
「たぶん君と同じだ。一月もすると別の子供が誘いに来た。
行ってみると、有刺鉄線など、どこにもなかった。」
T氏はひどく悲しそうな目をしていた。
「それからは、ひっきりなしだ。兄弟連れで、何人も何人も・・」
Sちゃんの家族の手に渡った見舞金。
我々にとっては、はした金程度のものでも、C国では家族を数年養えるだけの価値がある。
おまけに養う口は一つ減るのだ。
しばらくの間、T氏と私は子供達の運命を呪うように、黙って俯いていた。