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 [貧困の国]

私が今から話すことは、所謂「オカルト」といった性質のものではない。
しかし、私にとっては、本当に洒落にならない経験だった。
だから、かなりの長文ではあるが、ここに書き込むことにする。
霊の類の話を期待している向きには申し訳ないが、しばらくの間、我慢して欲しい。

私は昨年まで外資系の企業に勤めていた。
ある時、私に、C国へ出向しないか、という打診があった。
会社はC国に工場を所有しており、そこの技術者に日本国内の工場で採用されている
システムを修得させるのが目的の長期出向だった。
長期とは言っても、現地スタッフによる運用が可能となるまでの期間限定の出向だったし、
現地での待遇も、帰ってきてからのポストも非常に良い条件だった。
私は、少し考えた上で承諾した。

C国の工場で引継を終えた夜、私は前任者と食事を共にした。
前任者(仮にT氏としておく)は赴任してから半年後に、健康上の理由から
日本への帰国を希望していた。
目の前のT氏は、確かに頬がこけていて顔色が悪く、
心身共に疲れ切っているような印象だった。
T氏は、現地での生活について様々なアドバイスをしてくれたのだが、中でも
「倉庫の裏にある丘には決して近づくな。」というようなことを、ことさら強調した。
私がその理由を尋ねても、T氏は口を噤んだままだった。

やがてT氏は帰国し、私のC国での生活が始まった。
続く