[磯ヶ沢の鬼礫]
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Aの話を要約するとこんな感じ。 
あの後、礫ヶ沢でつぶておにをオカルト研でやりに行った。 
実際鬼の礫を見つけてつぶておにをやってみると、不思議なことに確かに石なのにいたくない。 
その後、「鬼の礫〜」をやらずに石を持って帰って調べてみよう、そう言うことになって、石を持ち帰った。 
ところがその帰り、夜の国道を走っているときに異変が始まった。 
礫ヶ沢に行ったオカルト研はA、D(Cの知人)、E(教育学部の地学研究室)の3人。 
石を持ち帰ったのはE。 
普段はやたらおしゃべりなのに、帰りの道中では殆ど口をきかない。 
「まあ、疲れているんだろうな」、位に思っていた。 
3人が帰りにコンビニに寄り、飲み物なんかを補充していると、Eが飲み物の他にカッターなんかを買っている。 
そのときは「おかしなヤツだな」、程度しか思わなかったんだ。 
コンビニを出るとき、Eの影に角が生えているようにAには見えた。 
ギョッとして見直すと、コンビニのガラスの影の具合でそう見えただけのようだ。 
「つぶておにの話を聞いた後で、神経質になっているんだ」 
そう思い直して車に向かったとき、車からDの悲鳴が聞こえた。 
それはEがカッターでDに斬りつけたところだった。 
Aは後ろからEを羽交い締めにして 
「どうしたんだ!」と叫ぶと 
Eの首がぐるっと回り(そう見えたらしい)獣のような目でイヤな笑いをしたそうだ。 
次の瞬間Aは太ももをEのカッターで斬りつけられて、その痛みでEを放してしまったそうだ。 
Dはその間に車に乗り込み、ドアも閉めずにそのまま車で逃走。 
Eは開きかけのドアに捕まり、車に引きずられていってしまったそうだ。 
一人残されたAは恐怖に震えながらタクシーで家に帰ったそうだ。 
後日、Aは大学で連中のことを聞く。 
その日、Dの車は近くの陸橋で自爆事故、Dはそのときの怪我で入院中、Eはその日以来姿を見せていないとのこと。 
Aはその話を聞いて、 
「次にEが来るのは自分のところじゃないか」 
そう思ってアパートに閉じこもっていた。 
続く