[今神様やってるのよ]
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「Kちゃん(おばさんの名前)、私ね、今神様やってるのよ。
たくさんの人たちを救ってあげてるの。Kちゃんも困ったことがあったらいつでも電話して。
助けられると思うわ。」
昔のままの非常に明るく、感じのよい声で、彼女はこんなことを言いました。
あまりにも普通に言われたので、おばさんは「ああ、そう・・・」としかいえなかったそうです。

しかしその夜、自分の娘と生まれてくる赤ちゃんのことを考えると、
おばさんも疲れていたのでしょう、そんなとんでもない電話さえ、
「ひょっとしたら、これもなにかの縁かもしれない。明日頼んでみよう。」
と思ったそうです。
なにかすがるものができたせいか、おばさんはその夜久しぶりに眠りに落ちました。
夢の中に、娘とまだ子供の頃のままの幼馴染が出てきました。
娘もなぜか妊娠しておらず、3人で仲良く遊んでいる夢でした。

幼馴染もニコニコしていて、お花畑のような所で、すごく幸せな夢です。
マリのようなもので遊んでいました。
おばさんにマリが飛んできました。おばさんは胸で受け止めました。
するとそのマリの皮がずるっとむけるように、中から大きな溶けかかった幼虫のようなものが出てくるではありませんか。
思わずおばさんは悲鳴を上げました。

誰かに投げようにもそこは母親、とっさに娘より幼馴染のほうを見ました。
投げようとしても幼虫のようなものは絡み付いて離れません。
それを見て幼馴染は、ケラケラと狂ったように笑います。
その目は全部黒目で、穴があいてるようです。
幼虫の鳴き声と、幼馴染の幼い子供の笑い声が響くように重なります。
おばさんは飛び起きました。全身汗でびっしょりです。
「その時ね、私思ったのよ。あの幼虫はね、赤ちゃんだって。
どうしてか分からない。人間の姿なんてもちろんしてなかったし、泣き声は獣のようだった。
でもね、絶対赤ちゃんだと思ったの。
すごく不吉に感じて、その後せっかく連絡してきてくれた幼馴染に怖くて連絡できなかったの。」

その後何とか無事に子供は生まれ、そんな電話があったことも忘れていました。
そしてある日、何気なくつけたTVのワイドショーに、
その幼馴染の名前と、夢とはかけ離れた年老いた女性の顔が映し出されたそうです。
少し前にありましたよね。
怪しげな新興宗教を信じて、死んでしまった我が子の皮をはいだら生き返ると言われ、
その通りにしてしまった若い夫婦。
その夫婦が信じていた神様こそが、おばさんの幼馴染だったそうです。
その幼馴染は何不自由ない家庭環境にいたはずなのに、
おばさんの知らない10年の間に何があったのでしょう。
おばさんは怖いというよりも、みていて涙が止まらなかったそうです。
もし彼女に相談していたら・・・


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