[絵馬]
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神社につくと、オレは彼女の耳から携帯をとり自分の耳にあてた、
電話からは、オッサンのお経のような、呪文のような、そんな声が聞こえる。
「つきました!」
『〜〜〜、、!そうか!すぐに前お前が入った建物まで運べ!』
オレとお父さんで急いで彼女を神社の裏手の建物に運んだ。
オッサンはなんか、神々しい格好をしていて、頼もしかった。
「彼女をここに!」
言われた通り、彼女をオッサンの前の布がひかれた場所に寝かせる。
オッサンはお経のような、呪文のような、歌のような。そんな言葉を発しながら、彼女の身体に手をかざしたりしはじめた。
たまに普通の日本語っぽい言葉も聞こえた。
そのうち彼女に変化があった。
「うぅ〜〜、うぉおお〜〜。」
うなり声があがったと思うと、彼女は目を見開いて
「またかー!またかー!おのれー!おのれー!」
とすごい形相で叫び出した。身体は反り返り、たまにドスンと床に落ち、すぐ反り返る。
お母さんはその様子を見て気を失ってしまった。
オレももう身体がありえないくらい震えていた。
「違う!違うぞ!この男は違うのだー!」
「ヒャーッ!ヒャーッ!Y〜〜〜〜〜!Y〜〜〜〜〜!」
卒倒寸前のオレをオッサンはいきなり捕まえて、
彼女の目の前に突き出した。
「よく見るがいい!おまえの愛した男か!違うであろう!」
すごい彼女の形相。いや、これはあの女の顔なのか。
「ごめんなさい、ごめんなさい、ごめんなさい、違うんです、ごめんなさい、、、」
オレは絵馬を外したことを心のそこから謝った。
続く