[自己責任]
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それだけ聞かされると、私たちは重い気持ちで進路
室を出ました。

あのとき神主さんは私の伸ばしていた後ろ毛をハサ
ミで切ったのです。何かのまじない程度に思ってい
ましたが、まじないどころではありませんでした。
帰るその足で床屋に行き、丸坊主にしてもらいまし
た。

詠むのがきついひとはオシッコいって毒気を抜いてください
だいぶん、違うと思います。

*自己責任で喚んでください
*自己責任で喚んでください


卒業して家業を継ぐという話は、その時から諦めな
ければいけませんでした。その後私たちはバラバラ
の県で進路につき、絶対に顔を合わせないようにし
よう、もし会っても他人のふりをすることにしなけ
ればなりませんでした。

私は、1年遅れて隣県の高校に入ることができ、過
去を忘れて自分の生活に没頭しました。髪は短く刈
りました。しかし、床屋で「坊主」を頼むたび、私
は神主さんの話を思い出していました。今日来るか、
明日来るか、と思いながら、長い3年が過ぎました。

その後、さらに浪人して、他県の大学に入ることが
できました。しかし、少し気を許して盆に帰省した
のがいけませんでした。もともと私はおじいちゃん
子で、祖父はその年の正月に亡くなっていました。
急のことだったのですが、せめて初盆くらいは帰っ
てこんか、と、電話で両親も言っていました。それ
がいけませんでした。

続く