[明晰夢スレの話]
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電車の中でも私はさっきの視線を感じていました。全身の悪寒も相変わらず続いていました。体がぐったり
と疲れていて、つい居眠りをしてしまいました。すると、またうなされていたようで、私は隣のおばさんに
揺り起こされました。車掌さんも心配してくれて「駅に着いたら病院に連絡するように駅員の人に伝えよう
か?」と言ってくれたのですが、私は一刻も早く家へ帰りたかったので申し出を断りました。
駅についてタクシーで自分のアパートまで戻りました。部屋に付くと、とりあえずお香を焚いて玄関や窓辺
に塩を盛りました。食欲はなく、シャワーを浴びると私はベッドに倒れ込むように横になりました。眠るの
は怖かったのですが、体が睡眠を求めているようで、眠くてしょうがない。それで、電気とテレビを点けっ
ぱなしにして眠ることにしました。
その日の夢のことは覚えています。私はベッドに横になっているのですが、体の中に悪寒が染みこんでき
て、体にピッタリと収まりました。体が二重になったような感覚です。もう自分の意志では体を動かせませ
ん。誰かが私の体を動かして、立ち上がりました。電気とテレビを消して、着替えをし、部屋の外へ出まし
た。
まだ外は真っ暗でした。アパートの近くに男が一人立っていました。それがあの民宿の隣の小屋から私達を
見ていた男だというのは分かりましたが、今は普通の人間っぽい感じで、青い光も見えません。私は気が狂
いそうなくらい怯えていましたが、私の体は男の後をついてどんどん歩いていきます。私は為す術もなくそ
れを見守っていました。

続く