[小屋の二階]
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帰りの車の中で、残っていた女の子に
「昨日はうるさかったんじゃねーの?」と聞くと、
「それほどでもかったけど・・」と言ってから、こんなことを言った。
「あの時、音楽が聞こえてきたんで、何やってるんだろう、って思って、
 窓からあの建物をみていたら、明るい窓の下に小さく明かりが灯って。
 で、また消えたと思ったら、一階の戸が開く音がしたんだ。」
すると、昨日行ったメンバーのうちでMって奴が、それを聞いて
「マジかよ・・」とつぶやき、話し出した。
「あの倉庫から階段上がった時に、踊り場あっただろう。
 あそこの壁に、わかんにくかったんだけど扉があったんだよ。
 その時は、なんだろうって思ったけど、別に気にしてなかった。
 で、帰る時にその扉がほんの少し開いてたんだ。
 俺、見間違えたのかな?って思ってたんだけど・・・」
「え?・・ってことは、俺らが飲んでたのって3階なの?」
俺は、ちょっとあせって聞いた。
「じゃあさ、1階に入った時、上で物音してたじゃん。あれって・・・」

思い出してみれば、おかしいところはいくつもあった。
俺らが1階の倉庫みたいなところに入るまで、3階?の窓は真っ暗だった。
あの階は一つの大きな部屋しかなかったはず。
じゃあ、あの男は、俺たちが来るまで、暗闇の中で何をしていたのか?
そして、あの料理。一人で食べるには多すぎる量、だけど温かかった。
誰かが来るのを待っていたのか?明かりを消して?俺たち以外の誰を?

そんなことを車の中で話すうちに、なんだか気味が悪くなってきた。
「イヤな感じだな。」「後味悪〜い。」なんて言いながら帰った。

帰ってみると、先に帰ったはずの女の子が失踪していた。
一緒のアパートに住んでる人に聞くと、あの晩、部屋には戻ったらしい。
が、いつの間にかいなくなっていた。
部屋は荒らされたり、片づけをした様子もなくて、
ただ、フツーに買い物に出たような感じだった。

彼女は、まだ見つかっていないそうだ。

続く