[ばあちゃんの仕業]

友人から聞いた話です。

何年か前、友人のお祖母さんが長い間病床に伏していましたが、
とうとう亡くなってしまいました。
実は、友人も含めて、家族の人間は
お祖母さんことがあまり好きではありませんでした。
お祖母さんの実家は名家で、何不自由なく育ってきたので、
とにかく我が儘だったからです。
友人のお母さんは嫁いでからいじめられ放題だったということでした。
病に伏しているお祖母さんの世話も大変だったようで、
私がお会いした時は、それはもうげっそりしておられました。
ですので、正直家族中が、お祖母さんの死を喜ぶとはいかないまでも、
何か重い荷物から解き放たれたような感覚だったといいます。

四十九日が過ぎ、家族はお祖母さんのことを徐々に忘れるようになりました。
そんなある日、お父さんが「お疲れ様」の意味を込めて、
お母さんを何日かの気晴らし旅行に出たそうです。
家に残ったのは友人一人。
当然のように仏様のご飯(仏壇に供える物)や水の入れ替えを頼まれた訳ですが、
友人は結構いい加減な人間で、
しっかり務まるわけがありません。
そんな感じで一日、二日と経っていきました。

友人が二階でゴロゴロしていると誰もいないはずの一階で、

ガタガタ、ガタガタ・・・・

と物音がするのです。
誰か来たのかと思い、下に降りて玄関を見ても誰もいません。

ガタガタ、ガタガタ・・・・

物音はどうやら、奥の部屋(仏間)からすることに気づいた友人は、
奥の部屋に行ってみました。
奥の部屋に入るとピタっと音が止みました。
不思議に思いながら、ふと仏壇を見ると、
立ててあったお祖母さんの写真立てがうつ伏せに倒れています。
隣には既に無くなったお祖父さんの写真立てがあるのですが、
それは何の変化もありません。

続く