[閉じこめられたモノ]

10年以上前の話だけど


昔自宅のすぐ近く(道路挟んで隣)にボロイ病院があった
俺は小さい頃(8歳くらい?)喘息でその病院によく入院していた
一ヶ月程度の短い入院を繰り返し
入院したては辛くてずっとベットの上だったけど
退院日が近くなると元気になって病院中を探索して遊んでた

俺には1歳上の姉ちゃんがいて、家が近い事もあって頻繁にお見舞いに来てくれてた
姉ちゃんが来るといつもスーパーボールを病院のどっかに隠して少ないヒントで探す宝探しゲームと言うモノをやっていた
ゲーム機とか持ってない俺はそれが凄い好きで退院日近くは病院の中をウロウロしまくってた

数年後あんまり入院しなくなった頃病院が別の場所に移る事になって
救急車やトラックで荷物の搬送を頻繁にしてて凄い五月蝿かった
で、暫くして搬送も全て終わり後は取り壊すだけになり工事関係の人が機材を運び込んだり
お払いの人が来て怪しい儀式みたいのをやってたりで、昼間は人が絶えることがあんまりなかった
けど夜はほとんど無人

今考えれば当然だけど、リア小の俺はなんでだろう?と思ってた
でも都合がよかったから特に深く考えなかった
都合がよかった、と言うのは当時の俺は怖いもの知らずのアホガキで
廃墟の病院に夜(18時〜20時?くらい)姉ちゃんと忍び込んで探索ごっこをして遊んでいた
昔探索しつくしてた事もあり病院内は庭みたいなモノでかくれんぼや
お医者さんごっこ(非エロ、患者はクマとかの人形)とか馬鹿な事して遊んでた

ある日、いつもの様にかくれんぼしていたら姉が全く見つからない
いつもだったらワザと声を出したり姿を見せたりして追いかけっこ状態で遊んで楽しんでいたのに
全く見つからなかった
もしかして隠れてる間に寝てしまったのかと思い一生懸命探した
でも全然見つからず俺も遂に半泣きなってに「先に帰るからね!」と叫んで帰ろうとした
そしたらどっかからガンガン音がした
びっくりしつつも姉ちゃんだと思った俺はその音のする場所を探した
音のする場所は滅多に行かない地下の方だった

入院してた当時は鍵が掛かってて入れなかったのでまったく近寄ってなく
その時は存在すら忘れていた
でもその時は地下に通じるドアすら取り外されていて奥からの音が聞こえてきていた
俺は何にも疑問に持たず姉ちゃんだと思って地下に降りて行った
ガンガンなっていたのは扉で中から誰かが蹴っている?感じで
中から姉ちゃんが蹴っているなと思い扉を開けようとした
でも扉はびくともしなかった
どれだけ頑張っても開かないので姉ちゃんが中から鍵を掛けたと思い
鍵はルール違反だぞ〜みたいな事を怒りながら叫んだ
でも扉はずっとガンガン蹴られてる
もしかして閉じ込められたんじゃないのか?と俺は思って
「中からも開かないの?」と聞いたら音が激しくなった
ガン、ガンって感じだったのがガンガンガンガン!みたいな
俺はそれが肯定だと受け取ってヤバイこれは大変だと親を呼びに家に帰った

家に帰った途端親が何時だと思ってるんだ!と怒ってきたけど俺は
「姉ちゃんが閉じ込められちゃった!ドアが開かないんだよ!早く来て!!」と言ったら
「は?」とすごい呆れた顔をされた
姉ちゃんが大変なのに何してるんだ早く早く!と俺は親の服を引っ張って病院に行こうとしたら
部屋の奥から「なにしてんの?」姉ちゃんが出てきた
普通だったらここで「なんでここにいるんだー!」と驚くところだが
アホな俺は「姉ちゃんドア開いたんだね!よかった!」と喜んだ
でも姉ちゃんは「あんた何言ってるの?」と言われようやく「え?」となった

なんでも姉ちゃんはかくれんぼの最中転んで出血したらしく先に帰っていて
帰る時、ちゃんと俺に帰ろうって声を掛けたらしいが俺はもう少し遊んでいくからいいと言ったらしい
が、俺はそんな事絶対聞いてないし言ってない
だから姉ちゃんの嘘だと思って勝手に帰った事に凄い腹を立てて
文句を言いたかったがさっきのドアの件を思い出して俺はまた慌て出した
じゃあ、あれってもしかして別の人?まだ閉じ込められてる?大変だ!と
(お化けとか全然考え付かなかった)
ドアの件を親に詳細に話して一緒に助けに行ってくれ!と頼んだが
話を聞いた親はすごい怒ってもう二度と病院に行っちゃ駄目だと怒鳴った
俺は自分が嘘を付いてると思われたと思ってすごい悲しくて部屋の布団の中でわんわん泣いた
泣きながら閉じ込められたままの人を考えて更に泣いた


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Part209
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