[イキバタ]
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イキバタは車を慌てて走らせた。だが、なぜか妙に飛ばさない。先ほどまで80キロで運転していたのにまるで車が重くなったかのように50キロ程度で走っている。
田舎道の直線道路になった瞬間、イキバタは

「お前にはなにもしてやれん!!!」

と叫んだ。
音楽なんか聴こえないくらい。

「だから俺に憑くだけ無駄だ!!!」

正直イキバタが怖くなった。

よくイキバタは「やっぱり生きてても死んでても怒鳴ったらついていきたくなくなるよ〜」と言うんだが
こんなにはっきり聞いたのは初めてだった。
今までは「叫んだよ」という報告しか聞いたことがなかったから。

イキバタ宅に到着するとなぜか電気がついている。ドライブ好きなイキバタの兄が帰ってきたのだろうかと思いきや、なんと夜中にも関わらずイキバタの母ちゃんだった。
イキバタの母ちゃんは怖いくらいに若く見える。初対面はお姉さんだと思ったし、正直後妻なのでは、と思っているくらいだ。イキバタもあんまり母とは仲良くないらしいので聞けないんだが。

「あれ、あんたまたどこか行ってたの」

「ドライブ行くって言ったじゃんか」

「え?
さっきあんた帰ってきたわよ?」

チビるかと思った

「…寝ぼけてたんだろ」
「そうかな。お兄ちゃんも帰ってきたから目が覚めちゃって、そしたらあんたが無言で帰ってきてさぁ」

イキバタはそんな母ちゃんを無視しつつ、部屋に向かっていた。部屋に入る前に印を切ったのは見なかったことにする。
部屋はいつもと変わらない。

「連れてきちまったかな。それとも先回りか…低級霊ってやつだろ」

イキバタは部屋に盛り塩をしながら言った。

「車、一気に重くなってさ
あーこりゃなんか乗せたなあと思ったよ
叫んだからいなくなったと思ったんだけどどうやら複数だったみてえだ
ま、その気になればあの車を溜まり場にして廃車にすりゃーいいだろ。人間よりも下手したら動物のほうが頭使うからなぁ。

でも、本当に俺についてきてもなんもしてやれねえのに
「憑き損」だよ、あいつら

カワイソウだよ、カワイソウ」

にやにや話すイキバタが何より怖いと思う。

以上です。
イキバタに関してはいろいろ話があるんですがいらないって意見あったら投下しません
長くてすんませんでした。


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