[後書き]

文ではあまり伝わらないかもだけど自分としては洒落にならなかった話


広大な図書館で、偶然とって読んだ一冊の本の、偶然よんだ後書きについての話である。
うちの大学は医療系の単科大学で、そこの図書館である深夜に試験勉強をしていた。
うちの大学は狭いんだけど図書館は結構広い。とはいっても医療系の本ばかりあるだけだが。
しばらく勉強していたが煮詰まってしまった俺は気分転換で図書館散策をすることにした。
普段は行かないような場所にもいき、ふと、立ち寄ったことのないコーナーがあることに気付いた。
文庫コーナー。
へー。うちの大学にもこんなとこがあるんだーと思い、立ち寄ってみた。
あるのは宮沢賢治全集や万葉集に混じって、
医学が関与してるエッセイ(柳田邦男の「犠牲」など)がある程度だった。
ボーッと眺めていると、見たことのあるタイトルがあった。
それは「1リットルの涙」の原作だった。ものすごく茶ばんでる。古いのか?
裏を見たら昭和59年発行と書いてある。ついでに後書きでも読むかと思いページを捲った。
母親の手記が後書きだった。
「早くあの子が元気になりますように。昭和59年○月□日」
と〆られていた。
そして、その文の左に鉛筆でこう書き添えられていた。

「昭和61年○月□日死去」

誰がこんなことを!?てか本当にこの日に死んだのか!?それにしてもわざわざなんで!?
俺は震えながら文庫を棚へ戻した。


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