[買取査定]

昨日から今日にかけてあまり怖くないかもしれんが、バイトで個人的には怖い経験だったのでカキコ。


俺はバイトで某古本屋で働いているんだけど、昨日久々の超大型の買取があったんだ。
で、その買取は依頼主の1DKの部屋にあるCD・DVD2000枚近くと、
本1000冊くらいを買い取る内容だったんだ。普段は、2人で客の家で買取をやるんだけど、
さすがにそれは2人では無理だろうって事で、3人で行って買取の依頼品を店に持ち帰り、
店で査定する事になったんだ。

俺はいつも遅番のシフトで働いてるんだけど、その買取の商品は中番の人が取りに行って持ち帰って来た。
で、その買取は俺を含め4人でやることになったんだ。
俺はCDの査定をしててさすがに今日中には終わらない気がしたんだけど、
一部の商品だけ査定端末に今日中に打ち込んでしまえば、
明日以降の作業が大分効率的に進むので、そこまでは終了させようと思ったんだ。

2時間くらい経過した頃、本の査定をしてた人が本の間に挟まった茶封筒を見つけたんだ。
客の私物は保管して返さなきゃいけなんだけど、
本を査定してた人が偶然に封筒に貼られえたラベルに気付いた。
「○○病院 心臓外科 ○○様」と記載されてたんだ。

で、依頼品を持ち帰った中番に「これお医者さんの家の買取?」って俺は聞いた。
そしたら、「いや亡くなった人の妹さんからの買取依頼らしいよ。」と言った。
どうやら遺品の買取依頼だったらしい。

それから、
「この依頼品の持ち主は、めちゃくちゃ依頼品を大切にしてたらしいよ。
入院してる時も、買取の依頼主が『邪魔だから処分していい?』って聞くと、
『いや、俺は家に絶対に帰るからそのままにしておけ』と何度も言うくらい、
この依頼品を大切にしてたらしい。結局は、亡くなってしまったらしいんだけど。
身内が妹さんだけで、妹さんが処分のため依頼してきた。」とも依頼品を取りに行った中番は言ってた。

で、実際に俺が査定してたCDの状態は半端なく良かった。
ケース割れ、盤面の状態ともにほとんどなくて、これだけのCDを蒐集するにはざっと見積もっても
おそらく700万円近くは費やさないといけないくらいのコレクションだった。

でも、依頼主の妹さんは「邪魔なものが処分できてよかった。」と笑顔で言ってたらしい。
気持ちは分かるが、俺も色々と集めるのが好きな方だから、身内からそんなに疎まれていたのかと
思うと少し元の持ち主が可哀相な気がした。

結局閉店後も2000枚のCDの査定は終了しなかった。
その時丁度、閉店後に有志を募ってソフトの加工をやる予定だったので、俺も店長の許可を貰って、
CD査定のために残業させてもらった。

加工組は1階の方で、査定の俺は2階の事務所で黙々と続けた。
で、俺が一人で事務所に篭ってると、どうも背後に人の気配を感じる。じっと見つめられてる感じ。
でも、誰かが入って来た音はしなかった。
で、途中からすぐ後ろで俺の査定をじっと覗き込む感じがした。やっぱり、気になるので後ろを振り返ると
そこには誰もいない。やっぱり、一人だから緊張してそんな感じがしたんだろうと思っていると、
視界の端っこの方に白髪のお爺さんが見ているのが見えた。ぞっとして、没頭するように査定を進めた。

査定の方も大分目処が見え、明日の早番に引き継げるくらいまで終わらせることができた。
丁度午前2時くらいになり、下の加工組が休憩を取ろうと言って来た。
休憩室で煙草を吸いながら、今日の大型買取について話した。

俺「元の持ち主の顔写真とか見た?」
加工組の中番「いや、見てないけど・・・」
俺「依頼主って結構年配?」
中番「60ちょいだったかな?なんで??」
俺「いや、査定してるとき白髪のお爺さんに見られてる気がして。」
中番「それは気のせいだってww」
他の加工組「そういえば、なんで病気か何かで亡くなったの?」
中番「いやー、さすがにそこまでは知らないなぁ」

そういうやり取りをしながら、2時30分くらいになったのでお互いの作業に戻ることになった。
俺の作業は後は、片付けと引継ぎだけだったからさっさと終わらせて帰ろうと思った。
2時45分くらいになって加工組の一人が一階が寒いからウィンドブレーカーを取りに来て、
出て行った後、急に事務所の空気が重くなった。それに凄い寒気がした。
早く帰りたい一身で色々作業をやって、何時かなと思って時計を見たら、まだ45分から、5分くらい
しか経過してなかった。それから、凄い呼吸がし辛くなった。
マラソンした後の、ゼーゼー言う感じ。55分くらいになった頃には、苦しくなった。
体も重くなった。時計を見ると、2時58分くらいだった。
急に3時にこの部屋にいるのは危険だと思った俺は、急いで事務所から出て、
3階にあるトイレに入った。で、個室に入った時、急に持ち主は心臓が悪くて病院に入院してて、
心臓発作で亡くなったんじゃねぇと思った。
だから、本の間に心臓外科からの茶封筒があったんだと納得できた。

それから、急いで作業終わらせて帰宅した次第。


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Part207
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