[幼馴染み]
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気がつけば大きい道(国道)を走っていたつもりがどんどん細い道になった。
右手には琵琶湖が見える。
街灯も無い真っ暗な道を3人は無言でひたすら走った。
トンネルを通った。明かりは全くない。20〜30mのトンネルなので
あまり必要ないのだろう。トンネルに入った途端先頭のSが急ブレーキで停車した。
それに続き2人は停車。
私「どうしたん?」
S「何かわからんけど、誰かが飛び出して来た。黒いの」
3人で周りを見渡す。誰もいない両脇はトンネルの壁。
道幅は車が普通にすれ違う程度なのでそんなに広くはない。
私「何も無いよ。疲れてるから目の錯覚だって、行くぞ」
そこからは私が先頭を走ることに。
トンネルを抜けもう一つ同じようなトンネルに差し掛かった瞬間
右側を黒い何かが通ったように思えた。構わず走った。
トンネルを抜けると更に道は狭くなった。
右手に琵琶湖が見える。ガードレールの向こうは草が生い茂って真っ暗だ。
突然、草むらがガサガサガサガサー!揺れたというか、動いた。
何だか怖くなってスピードを上げた。
ガサガサは追いかけて来た。というか並走している。
風よりももっとはっきりした何かが並走している。

私は何が何だかわからなくなり、とにかく逃げることしか頭に無かった。
グッとスピードを更に上げようとした瞬間。
前からものすごいスピードで、光が向かって来た。
ヤバい!と思った。ふと体が軽くなって、音が無くなった。
気がつくと、自転車をこいでいる。前方に誰かの姿が見えた。
だんだん近づくにつれて、そいつが道の真ん中までゆっくり動き、両手を広げて立った。
丁度、ハグするような感じか、子供がとおせんぼするときのポーズだ。
気持では 退け!と思ったが足が勝手に止り、手がブレーキを握った。
顔は解らなかったが、Dだとわかっていた。
私は来た道を引き返す事にした。ここで記憶が終わっていた。
気がつくと私は病院にいた。
目だけで周りを見ると、誰もいない。ドラマのように両親、兄弟が見守る中でというのは
あんまり無いんだなと、後で思った。
かなりの時間が経って、両親と姉が来た。その後、FとSも来た、泣いていた。
みんなが帰った後、Dが一人でやって来た。
お互い一言も発さず(私は顎が砕けてたので話せませんでしたが)ずっと、その空間に居た。
Dが帰った。というか消えた。

私は謎のガサガサ後、車に跳ねられてしまいました。
医者的には、助かる確率はものすごく低かったらしいです。
Dは出発前に私が電話したタイミングでは、既に亡くなっており
電話に出たのは誰ぞ?という疑問もあります。あまり書くとアレですが
死因は癲癇発作が引き起こした、落車からの轢死で、頭部の損傷が酷かったようです。
私たちとの待ち合わせ場所に向かう途中の事でした。
ちなみに、ガサガサ時SとFは後ろから私を見ていたのですが、
黒い大きな影が草むらから私に被って来て、その瞬間車と接触したとの事。
Dが連れて行こうとしたという噂も立ちましたが、私は決してそうでは無いと思ってます。
夢かどうかわかりませんが、とおせんぼしていたDらしき人は、よくよく考えると
こっちには来るなという事だったのだと、勝手に理解しています。
無事退院後、真っ先にDの家に線香をあげに行った時、
玄関開けた瞬間、Dが後ろ向きで座ってて、シャレにならない程驚いた。
お、お、お、おお母サン!Dが!と言うと。Dのおばさんは
「あんたからも、早う成仏しいやって、言ったって」と言われた。
帰りに私の靴がいくら探しても見つからず、Dの靴を借りて帰った。
そういえば昔は良く靴の隠し合いしたなーと思った。
まあ、おばさんが隠してたらそれはそれで怖いんだけども。

終わりです。
ありがとうございました。
昨年はDの墓参り行けなかったので、気になって気になって、思わず書いちゃいました。
スマンD!今年は2年分洗ったるからな!


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Part206
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