[爺さんと女の子]

家の母ちゃんが子供の時に体験した話なんだけどさ、
家の近くの路上で友達とバドミントンで遊んでたんだと。
で、日も暮れて暗くなったのでそろそろ帰ろうかなと
思っていた矢先、前方から自転車漕いだ爺さんが現れた。

その爺さんは楽しげに何かぶつぶつ言っていて、こちらに
近づくにつれ爺さんの声に混じって小さな女の子
のような声が聞こえてきた。母ちゃんはその時、
「ああ…後ろに孫の女の子でも乗せてるのかな」
程度に思っていたらしい。

そしてその爺さんが乗った
自転車とすれ違う瞬間、ふと気になって荷台の方を
見てみた。すると荷台にいるはずの爺さんと喋ってると
思わしき女の子の姿がどこにもない。あれ?と思って
振り返って自転車を見てみたがやはり爺さん以外
人なんていなかった。

爺さんは通り過ぎた後もなお
後ろの何もない空間に向かって楽しげにぶつぶつ
言っていて、女の子もまるでそこにいるかのように
声だけが聞こえている。
傍にいた友達を見てみると青ざめた顔をしていた。
どうやら友達にも聞こえていたらしい。
そんでそれから怖くなって二人ともそそくさ家に帰ったんだって

おしまい


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Part205
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