[切ない金縛り]

じゃあ俺も金縛りの体験談を一つ

高校3年生のころのお話
俺の学校は進学校だったってこともあり、毎日の宿題やら受験勉強やらで
いい加減精神をやられていた
その日は自暴自棄になり、いつもの帰り道から少し外れた道を行くことに
どうせならこのままどっか遠くまで行く気だった
だんだん見慣れた町から遠ざかり、坂を登り、山道に
ちょっとした非日常だったけど当時の俺をわくわくさせるのには充分だったよ

でもいい加減やばいんじゃないかってくらいの雰囲気
街灯もないし、道は車通れないくらい細いし
どんどん心細くなってきて、家のご飯が恋しくなり引き返そうかなと考え出したとき
目の前にバッと大きな湖が広がった
滅茶苦茶汚くて、手入れもされてない感じの湖で、どこかゾッとさせるものがあった
こんな湖近所にあったんだな〜とか思ってよくみたら、どこかおかしいのね
周りをすっげー高い金網で囲ってるし、花束みたいなのが散乱しているし
もっと近づこうと思って俺はギョッとした

この道が湖に繋がってるんだよ
一本道で他に道路と呼べる道路もなかったから
余計不気味に思えた
まるで道路が湖に吸い込まれているような感じだった

俺はそれがわかった瞬間すごい勢いでチャリを漕ぎ出した
はやく帰ろう、それしか考えれなかった

無我夢中で家に帰ったときは気が動転してて
どうやって家に帰ってこれたとかさっぱり覚えてない
俺はこの緊張をどうにか紛らわせようとエロ本を取り出しオナニーを始めた
しかし、疲労と緊張のせいでいつのまにか眠っていた

しばらくして目が覚めた。家にいるという安堵感が俺を落ち着かせた
顔をあげて時計をみるとそろそろ7時。我が家は7時になると家族全員で飯を食べる風習がある
飯ができると、いつも母かばーちゃんが部屋をあけて
「ごはんよー」と呼びにくるのが常事になっている

台所いくかーと思って体をあげようとした瞬間からだ全く動かない
あぁ、金縛りか・・・と思っていると、さっきの湖が思い出され怖くなった
更に不幸な事に俺はオナニー中だったということも思い出した
かろうじて動く顔をあげ、下半身をみると
右手が俺のしなびた息子を握ったまま硬直しているのが見える

この状態で親が呼びにきたらマズイ

下校中ちょっとした自暴自棄に陥って冒険した自分を恨んだ
隣の部屋のじーちゃんが扉をあける音が聞こえる
ばーちゃんの「あなた、ごはんですよ」の声が聞こえる
ヤバイ。本格的にヤバイ
足音が俺の部屋に近づく
冷や汗をかいた。半裸だっていうのに滅茶苦茶汗がでた

足音は通り過ぎ階段のほうへ向かっていった
助かった・・・・俺は胸を撫で下ろし、はやく金縛りがとけることを祈った

次ぎの瞬間、大学生の姉が勢いよくドアをあけた
「○○!ごは・・・・・・んよ。はやく降りてきなさい」
俺は泣いた


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Part205
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