[天井の染み]

7〜8年前、出張で常磐道桜土浦ICそばの、とあるビジネスホテルに泊まった時の話。
ある時、そこの畳部屋に泊まったんだ。
部屋の造りは、ドアを入ると廊下、突き当たりが客室、廊下脇にユニット、という普通のもの。
畳に寝転がって天井を見たら、なんかシミみたいなのがある。
始めは、そんな新しいホテルでもないからシミの一つもあるでしょ、と思って気にしなかった。
その日の業務日報を作成し終わったのは、もう夜12時になろうか、という時間帯だった。
小腹が減ったので、すぐ近くのロー○ンへ買い出しに行った。

すぐにホテルに戻って部屋に向かう。
部屋のドアを開けると、ヒンヤリとした空気が流れてくる。
あれ?冷房点けっぱだったか?
そんな程度で、大して気にもせず、部屋に入る。
何か空気が重い気が。
あと心なしか、誰かに見られてる気もする。
疲れてるんだな。
早めに寝よう。
ということで、買ってきたオニギリ3個は翌日にして、ビールを飲んで寝た。
ちなみに自分は、ホテルで寝るときは電気点けっぱ派。
畳に敷いてある布団に、仰向けに寝転がった。

そこでふと、先程の天井のシミが目に入った。

さっきと場所が違う?
しかもそのシミ、形も変わってる?
何か、人の上半身っぽく見える…
でも、酒が回ってきたかなと、あまり気にしなかったら、そのまま寝てたみたい。

ふと目が覚める。
寒い。
時計を見ると夜中の3時過ぎ。
冷房点けっぱだったかと思い、近くにあったリモコンのスイッチを押す。
あれ?スイッチ入った?
不思議に思いつつスイッチを切る。
そこで、自分の背後(ドアの方)から誰かに見られてる気がして振り返る。
ドアは廊下の奥で暗いけど、誰もいないみたい。

何か嫌な感じだな、とか思いながら、再び仰向けに。
…!!!
天井のシミが……無い?
起き上がって天井をもう一度よく見てみるが、やっぱりシミは無い。
え?何が起きたの?
訳もわからずキョロキョロしてたら、ドアの方にソレはいた。
黒っぽくて、輪郭ははっきりしないけど人っぽい形の、得体の知れないモノがモゾモゾしてる。
しかも、徐々にに近づいて来てる。
直感的に、コイツはヤバい、とは思うんだけど、金縛りなのか、体が動かない。

距離的には3〜4M程度の近距離を、ソレは這うようにして近寄って来る。
でも体は動かないし、声も出せない。
為す術も無く、ただビビッてるうちに、ソレは俺の足下に来ていた。
次の瞬間、俺は気絶したらしい。
目が覚めたのは、朝8時半過ぎ。…寝坊だ。
慌てて身支度を済ませ荷物をまとめて、逃げるようにチェックアウトする。

営業車に乗り込み、とにかくそのホテルから離れる。
昨夜のことを不気味に思いつつ、それでも腹が減ったので、まだ残ってたオニギリを食べようと思い、車を道路脇へ寄せる。
オニギリを取り出そうと、コンビニ袋に手を入れた。
…何か、袋の中が濡れてる。
しかも1個足りない…

気味が悪いので、全部窓から投げ捨てた。

その後行った営業先で、そのホテルについてそれとなく聞いたら、地元では割と有名な不思議スポットなんだとか。
その後、そのホテルには泊まってない。


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Part196-2
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