[置き去り]

今ここで昔のことを懺悔します。明日にでも死ぬのではないかと思うと毎日が嫌になります

ここに書こうと思った発端は一昨日のことでした。
「本当にあった怖い話」がやってましたよね。スザンヌとかがゲストで。
その時に「着信履歴」という話がありました。友達を置いていったら入らないはずのその友達の着信が…
というやつです。私は以前、それと全く同じことをしてしまいました。いや、それ以上に危ないことを。
ここに書けば「パクリ乙」だとか煽られるのでしょうが、私はそれを望んでいます。
私はあれを幻だとか気のせいだと思いたいのです。不可思議で、どう考えてもおかしいことが
立て続けに起こったのですから。私はそれを信じたくないのです。
前置きが長くなりましたが、今から懺悔したいと思います。

そうですね、あれは5年ほど前のことでしょうか。
私は「着信履歴」と同じことを、同じ場所でしたのです。
私と友人A,B,友人Aの友人であるC(ほぼ赤の他人です)がAの車であるセレナに乗って
地元の山の方へ行っていた時のことです。
山の方、と言っても歩けば30分程度で麓の自宅に帰れるほどの距離で、そこには心霊スポットがありました。
あんまり大きく噂は流れていないのですが、知人達の間では結構流れているのです。
そのトンネルの中に入ると女が追いかけてくる、だとかありきたりな話でしたが
そこの近くの林では地元の自殺数の90%を占める自殺者が首を吊って死んでいる、というのは知っていました
私たちはそこへ行き、「着信履歴」と同じことをBにしました。
そのトンネルの入り口にそこそこ大きな石があり、それに触れると祟られる、という噂があったので
私たちはそこへ行くようBをけしかけ、置いてけぼりにしたのです。
今思い出すととてもひどいことをしました。私たちは麓へ徒歩でも歩いていけることに安心したのか
Bを車の中へ入れず、そのまま家に帰ってしまったのです。
「今度会ったら謝ろう」と言って、私たちはその日解散しました。

次の日、Bの家に近かったAから電話があり、「Bが帰ってきていない」みたいでした。
家には鍵がかかっており、Bは家にいるときは絶対に鍵をかけない人間だったので、まだ帰ってないと判断したみたいです。
私はCに連絡し(電話番号は聞いていました)、Bの件を話して、あそこへ行こう、と言いました。
Cは罪悪感もあったのか、すぐにokの返事をし、Aの家まで行くことになりました(Cと私は家が近所でした)

自転車でAの家に向かい、車であの場所へ。
ついた時、異変を感じました。あの石が無くなっていたのです。
私たちは首をかしげ、周りを見渡してみると、林へ続く獣道に石が転がっていました。
まるで誰かに投げられたかのように。
林の奥の方へ行くと、微かに腐臭がしました。その林は結構入り組んでいて
見つからない死体もあるそうです。
私たちはあまり木を見ないように(林だから無理なのですが)進んでいきました。
もしかしたら、と私は木を見て歩きました。Bが自殺しているかも、という万が一を考えたのです。
ですが私の目には薄暗い林の木しか見えなく、私たちは戻ることにしました。
とりあえず、Bの部屋に行くことになりました。大家さんに事情を話して鍵を貸してもらい、大家さんと一緒に部屋へ。
鍵をあけて入ったとき、微かに、ほんの微かにですが、あの林の臭いがした気がします。
玄関を抜け、リビングに入ったとき、私は腰を抜かしそうになりました。
Bが首を吊って死んでいました。さらに、顔はとても笑顔で、しかし目だけは笑っていませんでした。
ニヤニヤ、という表現が合うのか合わないか、という顔で私たちを見下げていたBは、今でも目に焼きついています。
大家さんはわれ先にと家から出ていきました。私たちは「通報しないと!」と思い、電話を探しました。
玄関の近くにあり、Aが受話器をとって電話をしました。
その時、ふとAを見ると、そのAの背後に、リビングに居たはずの首吊りをしたBが、その状態で立っているのです。
立っている、という表現はおかしいですね。吊るされていたのです。
私とCは声を上げられませんでした。あの目だけが笑っていない笑顔がとても怖かった。
Aの首にロープがかかるのを見た瞬間、私とCは脱兎のごとくかけだしました。
その間Aの「どこに行くんだよ!待てよ!」という叫びを背にしながら。

その後2時間ぐらいしました。私とCはBの家に行くことにしました。
Aの安否を確かめなければ、と思ったのです。

続く