[白い顔]

これは1Kのアパートに一人暮らしをしている
ごく普通の女子大生の話。


私は部屋の隙間という隙間が嫌いだ。
ドアやふすま、カーテンも隙間が開いてると
すぐ閉めるようにしている。
何故ならば、私の目に映る隙間という空間には

白い顔が存在するからだ。
白い顔はいつも私を見ているような気がする。
もし白い顔を見てしまった時は、すぐ目を逸らすようにしている。

隙間をみるといつも
何かが見えるような気がしてならないのだ。

そんな暗示にかかりやすい私は、何度も嫌というほど
部屋で白い顔を見てきた。


ある夜のこと

突然ブレーカーが落ち、停電にあった。

暗くて何も見えない。
「パソコンと炊飯器しかつけてないのに?」と
一瞬パニックになりかけた私だったが
すぐに冷静になり、携帯のライトをつけようと携帯を探した。
しかし携帯が見つからない。
仕方ないので手探りで懐中電灯を探す・・

暗闇に目が少し慣れ始めた頃

ようやく普段滅多に使わない懐中電灯を見つけ
鏡の下に置いてある懐中電灯を手に取った。

そして私は何気なしに鏡を見つめた。

鏡は灯りの消えた、いつもの私の部屋を映しだしていた。

しかし私は気づいた。

台所に違和感があるのだ。

そこには

隙間にしか現れなかったはずの

白い顔がいた。


次の話

Part196-2
top