[サナトリウム]
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4つ目はまた異様な部屋だった
床には何かベットの綿らしきものが散乱し
四方の壁にはマットが付けられ
壁のマットはほじくられコンクリートが所々露出していた
バタン、という音がし、3人とも飛び上がった
俺とBの視線はベッドの上に釘付けになった
ビダン!バダン!ビダン!ビダン!と
魚のようにベッドの上の何かが跳ねまくる
俺は声を出してはいけないと口を噤んだが、Bは「ひぇ…」と声を漏らした
途端にそれがバン!と起き上がった
両手の無いらしき人っぽい何か
坊主頭で目の位置にはアップリケが縫いつけられていた
俺はAとBの手を引いて部屋から駆け出た
ソイツはよたよたとこっちへ歩いてきていたが、俺はバン!とドアを締めかんぬきをかけた
ゴン!ゴン!ゴン!とドアに何かをぶつける音がした
Bは泣き出しそうだった、俺は上への階段にBとAを引きずりだし、またかんぬきをかけた
それからは車まで無言だった
AはむすっとしてるしBは泣いていた
車に帰るとAが
「チキンが、Bはともかく情けねぇな、せっかく地下への階段を見つけたのにそこのドアが動いてたぐらいでビビって」

俺とBはあの部屋にはドアも階段も無かったと言えなかった

・階段降りたらどうなったんだろ
・隔離された治療所だから病死扱いになってるだけ
・で、そのお目目アップリケがAの見た階段から地下へ行き、院内を徘徊して人殺し
・だから地下の階を封鎖して患者を避難させた
・おそらくソイツは地下で飢え死にでもした
くらいの憶測が出たくらい
>>594
日本人の友達によると
・マットで壁が覆われていたことから、自傷癖がありおそらく手を拘束されていた
・自分が束縛されたイメージからの解放、で手枷ごと手がない
・生前に暗い地下室を徘徊していたとすると、目を不要とする意識があった
・院生活が長く、『塞ぐ』っていう行為が、恐らく子供の頃のアップリケしか思いつかなかった


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Part195
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