[階下の物音]

小学生くらいの頃。
暑い夏の金曜日だった。友人宅の、2階の友人の部屋でゲームをしていた。
家には自分と友人しかおらず、家族は夜まで帰ってこない。
友人宅ではネコを買っており、出入りできるよう編み戸を少しあけていた。

突然、1階の玄関のドアが閉まる音が聞こえた。
家族はまだ帰る時間ではない。おかしいなと思いつつ、
友人は「おかーさんー?」と一階に呼びかける。
返事はない。
なんだろうと気にしつつ、でもゲームを続けた。
くにおくんのドッジボールの対戦だったと思う。
試合が終わり、ちょっと1階見てくると友人が言い、部屋を出ようとした瞬間、
さっきより明らかに大きい音でドドドッバタンッ!と音が聞こえた。
二人して顔を見合わせ青ざめた。
あれは明らかに誰かが走り、玄関から外へ出た音じゃないのか?

しばらく動けなかったが、何分か後にボールかなんかを持って二人でソーっと降りていく。
荒らされた後など、異変はなかった。

友人は両親にも伝えたが、全く異変もなく、
時たま玄関を開けっ放しにする事もあったので、(真夏だし、そういう家が多かった)風で閉まったんでないか?とあまり気にしてなかったそうだ。

3日後。
週明けの朝のニュース。
その金曜日、友人宅と同じ町内、友人宅から数十メートルくらいの家で、空き巣に入られ、留守番のおばあさんが殺されたニュースをやっていた。

友人には伝えなかった。
ぼくは偶然みたが、ニュースなんか見ない子供達の耳に入る事もなかったようだ。
何より、友人はあまり覚えていないようだが、玄関のドアをカギまでかけてしめた所をぼくは見ていたのだから。


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Part194
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