[青い子供と赤い男]
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「おまえの後ろに誰かいるな。」
「やっぱり?」
「うん、おっきい」
「どんなの?」
「んー。なんか真っ赤な男」
聞くと、別に害はないそうだ。守護霊ってわけじゃないけど、その類。
たぶんいろいろ助けてくれたのはそいつじゃないかってこと。
「じゃあ、後ろから押してきたのは?」
「知らない。」
じゃあ、誰だよ。
友人と帰る途中、友人は道の影にいる男の子に気づいたそうだ。
「おい、たぶんお前を押したの、あいつだ。」
真っ青で、大きな目でじっとこちらを見てたらしい。
「見るなよ、目ぇ合わせたら終わりだ。」
いやでも、おれには見えないんですけど・・・。
おれらが通り過ぎた瞬間、宙に浮いて付いてきたらしい。ちょうど
頭の上あたりで。信号待ちしてたら、案の定、そろそろと子供が近づいてきたらしい。
その瞬間ドンッて押された。その次に手首つかまれてグイッて引き戻された。
「・・・またかよ!」
友人はその瞬間を見てた。
つづく

「どんなだった?」
「んー。青い子供がおまえの背中を思いっきり押してった。その次に真っ赤な男が
手首をつかんでお前を引き戻した。でもなんか違うんだよな。」
「何が。」
「青い子供が押すまで、真っ赤な男は腕組んでジッと見てるだけなんだ。・・・たぶんお前、もて遊ばれてるぞ。」
なんだよ、てことは、そいつらはグルだったってことか。
「いや、そういんじゃなくて赤い方はたぶんおまえの守護霊。青い子の力が強すぎて、
手が出せないっぽい。だからギリギリじゃないと助けられないみたい。」
明日、知り合いの住職に相談してみてくれるとのことで、友人と別れた。

ふと考えたんだが、背中を向けてるから押されるんじゃないか?
幼稚な考えだったんだけど、信号待ちのとき、道路を背にして待っててみた。
はたから見たら変だよな。まあそしたら押されることは無くなったんだけど。
バス停で待ってたとき、隣の女の人がいきなり道路に飛び出して、車に轢かれた。
轢かれた瞬間を見てしまった。誰かにドンッて押されるように、倒れるように
飛び出して、走ってきたトラックに・・・。
確かに、おれは大丈夫だったけど、助けろよ守護霊!他人には知らんぷりか。


あとで友人に聞いたらやっぱり部屋の音の主は、あの子供だったみたい。
人間の霊とかじゃないんだけど、無差別に害をなすモノらしい。
それよりも、轢かれた女の人が心配です。正直おれもその瞬間見てトラウマが。
友人も押されたって。やっぱり、他人には知らんぷりですか。

終わり。今度、友人とお払い行ってきます。一応ね。


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Part194
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