[警察学校の思い出]

あまり恐くありませんが・・・・
警視庁警察学校は中野校舎の老朽化と施設の多目的利用のために、平成13年、東京都府中市朝日町において新校舎を建設した。
総工費450億円、東京ドーム2個分の広さと2500名の学生の勉学・術科・衣食住を確保できる施設である。
旧中野校舎から新校舎への移設により、一部学生の移動が順次行われた。
しかし、この移動において、怖い・・・・というより悲しい出来事と不思議な現象が起きた。

新校舎に移動する、ある教場(クラスのこと)に、明るく活発な女子学生がいた。周囲の誰からも親しまれ、教官からの信頼も厚い優秀な女警学生だった。彼女は残りの学校生活をみんなで苦労を分かち合って過ごし、卒業することを大変に楽しみにしていた。

しかし、新校舎への移動する直前に彼女は不慮の事故で亡くなったしまった(何かを喉に詰まらせた窒息死)。
もちろん同じ教場の仲間・教官は悲しんだ。だが悲しんでばかりはいられない。同期達は彼女の分も懸命に勉学・術科に励み、第一線で国民の生命と財産を守る警察官として卒業しなければならないからだ。

そして、卒業となり同期の仲間達は各警察署へと配属されて行った。
その数日後、ある同期生が奇妙な現象を発見した。それは卒業の際に全員で撮影した集合写真に亡くなった彼女が写っていたのだ。
だがしかし、同期の仲間達はそれに怖がることも、不気味悪がることもなかった。亡くなった彼女は自分達と残りの学校生活を仲間と切磋琢磨し、卒業式を迎えたくて旧中野校舎から一緒に着いて来たのだろうからだ。
だからこそ、彼等はその写真を大事にし、常に彼女と共に最前線で国民のために悪と戦っているのである。


少なくとも自分はその気持ちを忘れてはいない。


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