[ピエロ人形]

友達の家に、大きなピエロ人形がかざられているの。
その人形はもう亡くなられた友達のおばあちゃんのかたみなんだって。友達もとっても大事にしていたよ。
でもね、それは今では神社でおまつりされているんだよ。

そう、あれは今年(2003年)の7月ごろだよ。

私は、友達の家に行ったの。インターホンを押して、大きなピエロ人形を大事そうにかかえた友達がでてきたの。
友達はね、ずっとずっとその大きなピエロ人形のことを話してたの。もちろんその大きなピエロ人形をかかえたまま。
話聞いてるだけじゃつまらなかったから、ずっとピエロ人形をみつめてた。
そしたらね・・・・・なんだかそのピエロ人形が「にやっ」って友達のほうをむいていたような気がしたんだ。
ずっとずっと・・・。

「ちょっとさおり。話聞いてる〜?」その声に気づいて、はっとしたの。
「聞いてる聞いてる!!」私はちょっとごまかして、もう一回ピエロ人形に目をむけてみたの。
やっぱりそのピエロ人形、友達をみて「にやっ」ってしてるんだ。
ずっと見てたらね・・・そのピエロ人形、ぐるっと首をいっかいてんしたと思えば、今度は私を見てるの。
「にやっ」ってね。

「うわっ!!」私は大声だしたよ。
「さおり!?どうしたん!!大丈夫か?」友達が心配そうにこっちを見ているんだ。
「そ・・・そのピエロ人形・・・。早くどっかにしまってよ!!」もう体のふるえがとまらないの・・・。
「なんでよ。いいやんか。どうしたんよ。」友達は気づいていないらしいんだ。
事情を友達に話したけど、そんなの友達は信じてくれなかったの。

「このままじゃあぶないんとちゃうかな・・・」私はいつのまにかその人形に危機感を感じていたんだ・・・。
今日は、お母さんの帰りが遅いから、その友達の家にとまらせてもらうことにした。当然、全然うれしくないよ。
「さおり、元気ないなぁ。どうしたんよ。今日、なんかおかしいで?ピエロ人形、いやなんか?じゃあ、今日は人形しまっとくな。」
私はちょっと安心したよ。

その夜・・・ピエロ人形は私たちの寝る、おしいれの中にしまっておいたんだよ。
電気が消えて、友達はすぐねちゃったけど、私はピエロ人形のことが気になってなかなか寝つけなかったの。

その時。
「がたがたがたがたがたがたがたがたがたがたがたがたがた」おしいれの戸が「がたがた」ってゆれているの。
私は息をひそめた。友達はねているんだ。そのうちに・・・「ガ――ッ」って、おしいれの戸が開いたんだ!!
そこからでてきたのは・・・なんとね・・・あのピエロ人形の手なんだよ!!本当だよ!!
私はふとんにもぐりこんだ。そして、恐怖におびえながら、いつのまにか朝になっていたの。
「ん・・・・?」なにかが私の足につっかえたんだ。見ると・・・・あの・・・ピエロ人形があったの・・・・。
目が真っ赤になっていたよ・・・。そして、そのつっかえていた足の部分に、妙な形のあざができていたんだ。
そのあざ、いたくもなんともなかったよ。

あのときの恐怖は・・・一生わすれられないんだ・・・・・・・。


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