[母さんの涙]

これは恐らく心霊話。
ドンドンバンバン蚊を叩き殺し意図せず私を震撼させた母が、その4年後に突然病気で亡くなった。倒れて2週間、話すこともできなかった。何も親孝行なんかしてなかった。甘えばかりだった。
うちの家族は単身赴任から戻った父と自分、あとは近所に住む叔母だけとなった。父方母方の祖父祖母も、そのひと月前を最後にみんな亡くなった。
母の葬儀も終わり、母の妹である叔母は私と父と仲が良いからうちに上がっていた夏の夜。
兄弟のいない私に全ての財産がくるから、父は地権だとかそういう引き継ぎの話をした。いつ母のように父が死ぬか分からないから、と。
父は続けて、これから三人、頼れるのは自分を覗き互いに二人しかいない。「あそこの家には母親がいないから」だなんていう理由をつけられたくないし、母親がいないぶんちゃんと生きていこう。お前(私)も幸い高校生まで育ったんだから。
そんな話をしていたとき、半袖だった私の左腕に一滴の雫が落ちた。直感的に母の涙だって分かった。
びっくりして父と叔母に話し、椅子の上に乗って天井を触った。何もない。湿気なんかない。クーラーつけてたし、まず自分の汗じゃなかった。
三人で号泣した。四十九日中も、それからも、そういうことは起こらなかった。
あれは母さんの涙。

拙い文章と書き逃げすみません。


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