[先客]
前頁

聞こえなかったのか?
ふざけてるのかな?
 と思い

 「おーい!」

ともう一度叫びました。
すると、玄関脇のトイレから

 「いまいくよ」

と声が聞こえてきました。
それは友人のものとは違い、

女性の声でした…

僕は一気に頭が真っ白になり、トイレの方に目をやりました。

トイレの中の電気が点いています。
帰ってきた時には点いてなかったのに…  (点いていたら気付いて消しますから)

全身の毛が逆立つように鳥肌が立ち
背中がゾクゾクし、一瞬にして汗が滲み出てきました。

 (あれは何だ? あれは誰だ? どうすればいい?)

頭がパニックになっていると、

           ギィ…ィ……

トイレのドアが、ゆっくりと開き始めました!!

恐怖で頭がおかしくなりそうでした。
     (怖い!見たくない!!)
と思いながらも、トイレから目を逸らすことができません…

ドアが半分、45度くらい開くと
隙間から伸びる光に、人の影が見え始め
その影の主が、ゆっくりとトイレから出てこようとしているのが分かりました。

僕はただ、恐怖に震えながら、ただただ見ている事しか出来なくなっていました。

  (ヤバイ ヤバイ コワイ)
「死ぬ」とも、「憑かれる」とも、言えませんが
「何かされる」という実感が沸き、部屋がぐにゃりと変形しているように感じました。

トイレから伸びる影が大きくなって
今まさに、「出てくる」寸前

   (もうダメだ…)

と同時に、玄関がガチャッ!と勢い良く開けられ

 「いよー! 帰ってきてたのかー!!」
と、友人が現れました。
その瞬間、トイレの電気が フッ と消えました。



僕は、そのままベッドに膝から倒れこみ
「うぉー!!」 と叫びました。

友人に「どうした!?」と尋ねられ、今起こった事を説明し、
ドアが半分以上開いたトイレを二人で確認しに行きました。

しかし、何もありませんでした…


結局、その日から友人の宅に泊めて貰っています。
親にも相談し

○アパートを変える事
○大家に全て話し、敷金等を返して貰えないかという事

など、現在進行中です。

何か進展があったら、ここにまた書かせて頂きたいです。

余り恐怖が伝わらなかったかも知れませんが…駄文失礼しました。


次の話

Part192menu
top