[夫婦の話]

ある夫婦が体験した話です。
 「近いうちに引越しする」 残暑の厳しい9月頃、知人の佐藤さんから電話がありました
 「まだ一ヶ月も経ってないじゃん、どうして?」 私は聞きました
佐藤は「部屋に 出た、悪いもんじゃないらしいけど、気味が悪くて…」と言います
私は 「またかいw あんたの嫁さんは?結構見えるんでしょ?彼女、
    まあ、話聞きたいから飲み行こうよ、いつ開いてる?」と、いつもの調子で飲みに誘います
佐藤 「う、うん。明後日でいいか?手続きとか部屋探しとかあってさ、いやー久しぶりに見ちまったよ」

佐藤(ビビリ)と私は小学校からの友達で、今でもよくオカ話をツマミに飲む仲です
佐藤の嫁(ツンロリ)も無類のオカ好きで、「この手の話なら3日3晩語れるわ」と豪語するほどでした。

飲み当日、佐藤は嫁と一緒に来ました。軽く挨拶した後、彼らは語り始めます

佐藤 「いや、長い話じゃないんだ、お前も家に来たことあるよな、6畳の寝室で…ああ、その前に…
    10日前に兄貴と甥っ子が来て、甥が『絵』を描いてたんだ、何かいてるの?って聞いたら
    『あじゅちゃんかいてるの』 って言うんだ、俺は あじゅちゃん?おともだち?って聞くと
    甥っ子は 『そうーさっき友達になったの』と。 俺はそっかー、よかったねーで流したんだけどさ
    よく考えたら甥っ子はその日家から出てないんだよな、友達ってのは家にいないとおかしいんだよ」
佐 嫁「そんな事すぐ気づけって感じよね」
佐藤 「ご、ごめん、でさ、甥っ子達が帰った晩に金縛りにあったんだ…、
    どうしたモンかと思ってたら、押入れの方から『スススッ』て音がしてそっち見たら
    引き戸が50cmぐらい開いてるんだよ、閉めてたはずなのに…でその隙間を2,3分見つめてたの
    と言うより目をそらす事が出来なかったんだけどね、そしたら ぬっ って覗いてきたんだよ 
    顔が人間の3倍くらいのでかさで、無表情のキューピー人形みたいな奴が…」

佐 嫁「不気味だけど悪い感じしなかったから平気よ」
佐藤 「そうかな…俺めっちゃ怖かった」
私  「その後どうしたの?」
佐藤 「ずっとにらめっこしてた、朝日が差し込んだら消えたよ」
私  「ずっとか、佐藤にしては頑張ったな」 
佐 嫁「ほんとよね」
佐藤 「いや、目を離した瞬間襲って来そうだったから…。
    で、次の日は反対向いて寝てたんだけど、どんどんこっちに近づいてる気がするんだ」
佐 嫁「そうだね、近づいて来てたかも」 
佐藤 「んで、引越ししたの」
佐 嫁「まったく…」
私  「そいつの正体分かった?」
佐 嫁「子供でしょうね、沢山くっ付いてたみたいだけど大きな害はないと思う」
私  「そう、お疲れさん、たしかに寝てる周りをでかいキューピーが動き回ってたら怖いね」

私はその日から暫く、寝てると押入れの方から何者かに見られてるような錯覚に襲われました。
。錯覚ですよね…


次の話

Part191menu
top