[離れのトイレ]

あんま恐くないかもです。4・5年前に出張で体験した話
とある田舎の寂れた漁村に、先輩と二人で出張にいったときのことです。
現場が小さな漁港(50戸も家がない)とこの近くだったんで、宿もなく役場の紹介で、
ほとんど無料同然の老夫婦が営む民宿に泊まることになりました。これが間違いだったのですが・・・・・・
いきなり予約も入れず飛び込んできた客だったからか、料理も最悪でオマケに部屋の
TVも壊れててまともに映らないような有様でした。田舎の夜は早いので8時頃には寝ることにしました。
ちなみに先輩と相部屋wビールをしこたま飲んだせいか、トイレが近くなり
ヘタレな俺は先輩を起こしトイレに付き合ってもらいました。なんでトイレに付き合ってもらったかというと、
トイレが外にあるんです。都会育ちの俺は外にトイレがあってしかもポットン式はどうにも馴染めず、
寝る前に先輩に「トイレに行くときは起こしますから頼みますよ〜」とゴマをすっていましたw
何時頃だったでしょうか?多分1時くらいに
先輩を起こしトイレにいったんです。その離れのトイレは3つ用を足すとこがあり
女性用・男性用(立ちション)・男性用(ウンコ)というような作りになっており
トイレに近づくとどこからともなく歌みたいなのが聞こえて来ました。
俺はその時点でメチャクチャ恐かったんですが、半分寝ぼけてる先輩はづかづかと先に行きます。

トイレの引き戸をガラガラと開けたらその歌ははっきりと響いてきました。低い男の声というか、
マンガ日本昔話に出てくる男のような声で、お経のような歌が響いていました。
寝ぼけてる先輩はお構いなしに、立ちションをしようとしてるのですが、
急に立ってられないような地震に見舞われ、先輩も我に帰りトイレからでました。
トイレからでると地震はピッタリと止んでいて、おかしいいのです。どうもトイレの中だけ地震ってな感じで
我に返った先輩は、「何この声?」と俺に聞いてきましたが、
俺は恐怖のあまり首を横に振ることしかできませんでした。
先輩はもう一度トイレに入り一番奥の男性用のトイレを開けようとしましたが俺は先輩の腕をつかみ止めました。
確かに先輩の開けようとしてるトイレから声というか歌が聞こえるのですが、
なにかとてつもない悪い予感がしたので先輩を止めようとしましたが、
一瞬振り返り首を横に振る俺の顔を見たらニヤリと先輩が微笑み俺の体ごと引っ張り勢い良く戸をあけました。
戸を開けた瞬間歌は止み、中には白い襦袢姿の坊さんらしき人が顔を壁に突っ込み立ってました。
体が正面の方を向きそうだったんで先輩は急いで戸を閉めトイレからでました。
俺は泣きそうになりましたが戸を閉めた後も、あの歌が庭先に聞こえてくるのです。
先輩が「おいここでションベンするぞ」と言い二人で真っ暗な庭にションベンしました
あの歌は母屋に入ると聞こえなくなりましたが、その後は二人とも無言で床につきました
一時間もしないうちに先輩のイビキが聞こえて来たので俺は、
この人はどういう神経してんだと不思議に思いましたが、朝まで布団にくるまって震えてました

明るくなってきて、先輩が起きたので、夕べのことを聞きましたが
「あ〜気にスンナ」の一言で片付けられました。
民宿の老夫婦にそのことを、聞こうと思いましたが、結局聞くことが出来ず
宿を後にしました。その日の仕事は午後から先輩が気を効かせてくれて
「お前5時まで寝てていいから」と言ってくれて車で寝てました。
夕方、目が覚めたら会社に向かう帰路で、
この漁村の作業は先輩が全部終わらせたことを聞いてビックリしました
先輩いわく「今日もアソコ泊まる気なかったからな」「それと滅多にないが出張中にたまにあるよこんなこと」
もうそこの会社は辞めましたが今では良い思いでです。
オチも何もないですが、駄文読んで戴きありがとうございました。


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