[情事の果て]
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ある日、まずいことに彼女と一緒に居るときにその子に会った。
その日はたまたまバイト休みで、11時くらいに彼女とバス停の前を通った。
その子は座ってた。
いつもはバイト上がりの2時前くらいに会うから、その子が何時から待ってるかなんて気にしてなかったけど、その時わかった。
その子は毎週何時間も俺を待ってたんだ。
そして、二度目あった時感じた違和感にも気付いた。
その子は、いつも初めて会った時と全く同じ格好だった。
俺は、背筋がヒヤリとしながら、何気ない顔で彼女とその子の前を通りすぎた。

その時。うつむいていたその子が顔をあげてニタリ、と笑った。
ぞくっとするような嫌な笑い方だった。
俺は彼女の手前、走り出したくなる気持ちを抑えて歩き去った。

気まずいのも手伝い、俺はなんとなくバイトを昼型に変え、その子に会わないようにした。
そのうち、就職先の研修が地元で始まるということで、ひとまず部屋はそのままにいったん地元へ戻った。

実家に帰ってしばらくして、携帯に下宿先アパートの管理会社から連絡が来た。
隣近所から騒音の苦情がきてるらしい。
実家に帰ってるんだから、騒音なんて出せるわけがない。
釈然としない思いだった。
それからしばらくして、今度は悪臭の苦情があると連絡がきた。
なんかおかしいと思いながら、ちょうど戻る時期でもあったのでアパートに戻った。
それが二週間前のことなんだけど。

部屋を開けた瞬間、酷い臭いに吐き気を催した。


ひどい臭いは、クローゼットからしてるようで、意を決して開けてみた。
そこは、気持ちの悪い液体でいっぱいだった。
吐しゃ物と思わしきものや、排泄物、髪の毛がぐちゃぐちゃになってて、真ん中に金属の空き缶みたいなのがあった。
中には、赤黒い、血のようなものが満たされていて、その中に鼠の死骸みたいなものがあった。
ひぃ、っと俺は尻餅をついて倒れた。
天井が見えた。そこには赤い血で
「私たちの愛の結晶です」
と書いてあった。

警察には届けたけど、あまり真剣には捜査とかしてくれない感じ。
怖くて、霊能者とかいう人に見て貰いに行ったら、物凄い生霊が見える、と言われた。

四日前引っ越したんだけど、夜中になると、窓をかりかり引っ掻く音が聞こえる。

全部本当の話なんで、俺にとっては現在進行形で死ぬほど怖い。


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