[馬が走る]

10年位前、当時、不動産 兼 建設会社に勤務していた時の話。
日祝祭日は交代で出勤してたある日の休日 俺の当番の日
色白で50代前半くらいの男性客が現れた。
今住んでる自宅を売却したいとのこと。
不動産情報誌に掲載する為、所在地、間取り等聞き取り、買い手を探す事になった。

ご想像通り この物件が後々厄介な出来事を引き起こすことになるんだけど、
霊感の類のものなんて、限りなく0に近い俺。
中に入っても、何も見えないし、何も感じない。普通の住宅にしか思わなかった。

2週間位たったある日の休日。いつものように休日当番。
あの男性客が来た。
たわいもない世間話やプロ野球の話題の相手をしたりもした。
俺が休日の当番の日には必ずといっていいほど事務所に現れ、
世間話をするってのが3ヶ月ほど続いた。
当時、俺の休日当番は月に2〜3回位。
何故か、俺の当番のときだけ事務所に現れるらしい。

そんなこんなでその男性客以後”K”さんと仲良くなっていろんな話をするように
なり、食事に誘われるまでになった。
週末、居酒屋に誘われて会社が終わってからKさんと一緒に呑んでたら、
深刻そうな表情で俺に言ってきた。”今から話すこと真面目に聞いてくれ”
仲良くなったとはいえ、Kさんはお客様。”もちろんです”と即答。
日本酒を一気飲みしてKさんが話した内容は次の通りだ(10年も前で記憶曖昧)

家内と娘2人(中学と高校)の4人家族である。
今は1人暮らしだ。
次女の様子が変になってきた。
長女が不登校になった。
家内が鬱になった。
家内が入院することになった。
次女がノイローゼで精神科医院に通院することになった。
長女が家出。
家内の両親に家内と次女と長女(歌舞伎町で保護されたらしい)を預けた。

そんなわけで今は1人暮らしなんだ と。
家族の看病のために財産処分するんだと思い聴いていた。

曖昧だが鮮明に記憶してる話がある。
 
”夜中、枕元を 馬が走るんだ”
”1頭や2頭じゃないんだよ”

続く