[死体洗い]

確かに恐ろしかったよ。でもなんとかやった。「元人間」だと思わないように自分に言い聞かせてね。
でも傷の多い「もの」だったな。
俺は簡単に後片付けを済ませると急いで3階へと上った。
ドアを開けるとさっきの男が出てきて「終ったのか?」と聞いた。
「一応・・・」
「じゃあ、ちょっと待っててくれ」俺を椅子に座らせると男は出て行った。
戻ってきた男は「うん、上出来だ」と言って、机の引き出しから封筒を取り出した。

大学の近くで独り暮らしをしている友達のアパートに遊びに行ったとき、俺はその話を
したんだ。すると、友達は「俺もやりたい、俺にも紹介しろ」といって聞かず、俺は
財布にしまってあった名刺を取り出し、そこに電話してみた。

でも、電話は通じない。呼び出し音はしているのだが、全然出る気配がないんだ。
「じゃあ、そこに行ってみるか」というんで、俺と友達はのこのこと出かけていった。
そして、例のビルに着いて3階へ上がる。ドアを開けて「ごめんください」と挨拶した。
出てきたのは女性だった。
「あの、アルバイトのことで着たんですが」
「はぁ?」女性は合点が行かないようで「ちょっと待っててください」と奥に行った。
代わりに男が出てきて、開口一番「うちはアルバイトは募集してないよ」
俺は先週の土曜日にやったことを説明してみたが、男は憮然として
「あのね、うちはね、法律事務所なの。バカなこといっちゃいけないよ。土曜日は
原則として休みだしね」
そして、そっけなくドアを閉めた。確かにドアには「××行政書士」と書いてあった。

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