しかし、遂に私の疑問も解ける時が来た。一ヵ月後のことだ、
「ああ、君。こないだの404号室の方が退去されるそうだ。明渡しに立ち会ってくれ。」
やった。とうとう用事が出来た。これはケチのつけようがない立派な用事だ。
退去する時とは残念だが、必ずタネを暴いてやる。
「くれぐれも失礼なことはするなよ。」
404号室のベルを鳴らす。
「やあ、入らせてもらうよ。」
ドアが開くや否や足を踏み出す。よし!。今度ははじかれることもなくすんなりと部屋にはいれた。
こんなにあっさり入れるとちょっと拍子抜けするほどだ。
「はやく確認をすませてくれないか・・・」
黒ずくめのゴキブリがなんか言ってるが知ったことか。私はとうとう入れた部屋の中をじっくりと
確認した。何かおかしなことはないか、どこか妙なところはないかと必死に探した。しかし小一時間も
探したが何一つ妙なところはない。ごく普通の部屋だ。私はすっかり困り果ててしまった。
「参った。降参だよ。いったいどうやったのか本当に知りたいんだ。教えてくれないか。」
「なんことだ・・・」
「この部屋だよ。どうやって一部屋余分に繰り出したんだ。」
「私は何もしていない。契約だから部屋が出来た。契約終了と同時に部屋は消える・・・・。
もう確認は済んだだろう。私は帰らせてもらうが、あんたはどうするんだ。」
すっとぼけやがって。何が契約だよ。うまいこといいやがってきっと何か秘密道具でも
しかけてあるんだろう。何がなんでも探してやる。
「ああーーいいとも。確認は終わったよ。きれいなもんだ。」
「一緒に帰らないか・・・」
こんな薄気味の悪い奴と並んで歩くのなんてまっぴらだ。
「クク・・では、お先に・・・」
そういうと奴は部屋を出て行った。
続く