[爺ちゃん助けて]
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何分か経ったのはわかる…長い?短い?かわからない…
そいつは身じろぎもせず見ている。
ついにそいつが動いた…ベッドの上に乗ってきた…
しかしベッドはきしまない。そいつはさらに俺のふくらはぎの上にのってきた。
生暖かく少しぬめるような感触があった…
俺は心の中で”南無阿弥陀仏…何妙法連…”知ってる限りのお経・お祈りを唱えた。
その時何故か俺の頭の中に一つの言葉が出てきた”爺ちゃん”
俺が生まれて間も無く死んだ爺ちゃん…
親戚から爺ちゃんは魂をお前にあげてから逝ってくれたんだよと聞かされた。
見えるという人に言わせると爺ちゃんは俺の右肩あたりにいるらしい。
俺の上にのってきたやつがもう一歩踏み出そうとしたとき、
俺は心から”爺ちゃん助けてくれ!”と念じた。

その時、見えはしないが俺の背中の方で「パチン!」と何かが弾けるような音がし
俺にのった奴が倒れこんできたのだった。
バターンと倒れこんできた時、迫ってくるあまりの勢いに俺は
”ぶつかる…霊体に潰される”と思ったんだが、
奴は俺の背中に覆い被さった瞬間、俺の体を通りぬけ消え去った…
「クゥゥ… タリ…ン カエ……レ…ル…ノ…」と言葉を残して…

それとほぼ同時に金縛りが解けた俺は、今起きたことが信じられず
窓を全部閉めた。実は夢を見ていて本当に泥棒が入ってきたんじゃあないか?
と思い、一通り部屋を確認した後で水を飲み、
落ち着いたところで、汗で濡れたTシャツを着替えようとした。
鏡の前でTシャツを脱いだその時、俺は霊が背中に倒れこんだのを思い出し
鏡を見た……そこには、右足のほうから斜めに背中を横切る人の体のラインが
赤く痣のように残っていた。

どうですか?俺はこの時かなりびびったんだけど…


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