[メモ]

自分が中学生の時の話なんだけど…、部活に入ってたもんだから毎日毎日、辺りが暗くなる時間帯まで学校に残っていた。

でも暗くなる時間帯まで居ても学校自体は全然恐くなかったんだ。

だって、校舎内は先生もいっぱい残っていたし他の部活のやつも残ってたから。



問題は下校のとき。


学校はちょうど中腹辺りにあって大体の子は下の駅がある方に帰って行くんだが、自分を含めた数人は家が学校より上だから帰りは部活で疲れてるのに山道を登らなきゃいけないので苦痛で仕方なかった。

そんなある日、本来ならテスト期間で部活が中止になるんだけどうちの部だけコンクールが近いからと部活があったんだ。

別に毎日部活してるわけだし顧問に文句を言うわけでもなく、いつも通りにしてたんだけど…下校の時に気づいた。



今日は一人で帰らなくちゃいけないんだ、と。


いつもなら近所に住んでる他の部活の友達(仮にKとする)と校門で待ち合わせして帰ってるんだけど今日はうちの部活以外どこも昼前で終わりだったんだって。

下校の道は山特有の暗さと不気味さがあっていつもはKと話しながら帰ってるからどうって事ないけどその時は凄く怖かった。

山道を歩いてるとしばらくして前から近所で有名な基地外が歩いてきた。


その基地外は近所の子供に意味不明な文章を書いたメモをプレゼントする奴で(本人は悪気はなさそう)行動も意味不明だからその時は目を合わさずに歩いてたんだ。

目が合ったら話かけられるかもと思って。


しかし、自分との距離があと少しとなったとこくらいでなんと坂道の上から凄い奇声をあげながら基地外が転がってくる…。

凄い勢いで転がってくる基地外に対して戸惑っている自分に基地外の体が引っかかった。

そこで、奇声を止めたかと思えば下から自分をジーッとみるばかりで何もしない。

でもソイツは凄い目つきで自分を睨んでいて自分も怖すぎて動けなかった。


さっきの転がった勢いでか知らんが基地外のポケットから一枚のメモが落ちているのを見つけた。

その内容とは街灯に照らされて『死ぬ』と小さい文字ではあるがハッキリと書かれていた。

誰に対しての死ねかは分からんけど自分はその文字を見た途端、恐怖で動かない体を懸命に動かして一目散に逃げて行った。



翌朝の登校時に例の道をKと一緒に歩いているとKが突然前を見て『あ、漫画落ちてんじゃん』と言った。

自分は近眼でかなり視力が悪いため(その頃はメガネもコンタクトも何もしてなかった)全然見えなくてKに『何の漫画?』って聞き返すと『目が悪いのは知ってたけど…お前あんなにでっかく書いてる文字も見えないくらい悪いの?』と言われたので説明しようとすると…


凄い勢いで鳥肌がたった…


自分は昨日、何であんなにも小さい字を読み取る事が出来たんだろうと。

その小さい文字は今ある視力じゃ読み取るのは不可能に近かった。

『昨日さ〜…、』


だけど、そんな事よりもっと鳥肌がたったのは次のKの言葉だった。

『近所の基地外居るだろ?ほら、あの変なメモ用紙配るやつw
ソイツに意味不明な紙をもらった事があったから返事書いて本人に渡してやったんよ。
じゃあ、ソイツ凄い嬉しそうにしてたから中開けなよって言ったら中見た途端に凄い勢いで怒り出して俺に飛びかかってくるもんだから蹴り飛ばしてやったw』


『………。』
呆然とする自分。

『おい、Kはその紙に何て書いたんだ…?』



『死ねって書いた。
そういえば、暗くてよく見えなかったんだけどソイツ蹴り飛ばした時に横を走って行った奴がお前そっくりだったんだけどまさかお前じゃないよな?』


次の話

Part189menu
top