[禁断のビデオ]
俺が東京にきた14年くらい前のこと。
本の町である神保町に毎週のように通って
古書や外国文学を買いあさっていた。
裏通りの本屋をめぐるのが好きだった。
で、エロビデオでもあさろうって気になって
いかにもふるそうなビデオやに入っていったとき、
ふと黒パッケージでタイトルが
「禁断の(読み取れない)」とか言うのが目に入った
得ろ意のかと思ってウラとかビデオの中とか見たんだが、
真っ黒のビデオなだけで何もわからなかった
500円て値段シールが張ってあったので、買ってみた
店員にきいても、出自なんかしらんみたいだし、
オカルトコーナーに乱雑に積んであった
なかから引っ張り出した誇りまみれの
ガラクタに責任なんか持てるかって
感じだったから試しに買ってみることにした。
で、家に帰って早速見ようとほかに買ってきたエロビデオを
それぞれ下見して最後にその黒いやつをデッキにいれてみようとしても、
デッキがへんな音がするんだな。
ガキン、ガチャン、ジーコとか明らかに
テープの読み取り音じゃない。
やべえ ぬっ壊れたか?とか思って何度か
取り出したり、入れて自動再生しないように
してみて、ようやく、ブルーバック的な画像らしきものが映る
前の読み込み画面なのが始まった。
エロビデオを先にみてたから、音声はきわめて小さくしてたんだが、
映像は青いのに、ぶつぶつ話声みたいのが聞こえる。
で2分くらいボケっと見てても、
全く映像が映らんから、音だけでもと思って大きくしたら、
日本語じゃない音が聞こえるんだ。
禁断のとかパッケージにかいてあるのに、
日本のビデオじゃないのかと思ってみてたら、
ふと、廃屋の部屋の中をビデオがよこ向いたままの映像が映った。
地面に置かれた上体で、部屋を写してる漢字だな。
人物とかはいないが、なんかしゃべってる音がする。
そんで、早送りしたら何か見えるかもと思い、
じーっと早送りしたら、カメラが蹴っ飛ばされたみたいに映像がぶっとんだ。
で、転がった先で、いきなり人の顔面のアップが写った
というか、右目だけが写った。
ここまでで、意味がわかったらすごいが、
けっとされたっぽい動きをしたカメラが転がった先に
人の顔があるってことは、その人の顔は地面に直接触れているってことだ。
10秒以上たっても、瞬きしない。