[自治おばさん]
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自宅近くの停留所に着いて、自分のマンションに向かった俺は気分が良かった。
あんまり気分が良かったんでマンションに住み着いてるぬこ達に弁当の残りでもやろうかな、なんて普段の俺じゃ考えつかないようなナイスアイデアを思いついた。
臭いんだよ。
糞的な臭さじゃあない。それはわかったけれど、
何の臭さかまでわからなかった。どこかで嗅いだ事があるような、不快感を伴う臭い。
でも、もう2、3歩でポイントだという所で俺は思い出した。
この臭いを嗅いだ場所。
牛をバラす見学をした所。
なぜこんな所でそんな臭いがするのか?
目を凝らすとすぐにわかった。
変わり果てた猫が何匹か転がっている。
全身に鳥肌がぞっと立った。
ポイントにいた人がゆっくり立ち上がり、振り向く。
そいつは血走った目を見開いていた。
「ひぃっ!」
まさか漫画以外で、しかも自分の口からこんな叫び声を聞くとは思わなかった。
その叫び声は声にならず喉の奥で鳴っただけだった。
何でこいつ俺の家知ってるんだ
まずそう思ったけど思い出した。
足音が聞こえた日のことを。
あれは俺を追うためじゃなくて俺の家を確かめるためだったって事だろう
「え?え?なに?」
こんなことを言った気がするけどマジで声出てなかったと思う。
本気でいっぱいいっぱいだった。
その日のおばさんは俺が怒鳴るまでバスの車内に響かせていた早口の文句を再発させていた。
「猫を飼うなんて迷惑だと思わないんですか
糞はどうするんですか
周りに迷惑ですよ
なきごえとかも迷惑ですよ
わからないんですかふえるいっぽうで
へらないですよ
ずっと
めいわくがかかるじょうしきしらずきんも
まきちらすわかりませんかわからないのかにんげんのくずくずくずくずくずくずくずくずくずくずくずくずくずくずくずくずくずくずくずくずくずくずくずくずくずくずくずくずくずくず」
うろ覚えだけどこんなこといってたと思う。
クズのところはよく覚えてるけど。
おばさんはクズクズ言いながら早足で俺に向かって歩いてきた。
マジで怖くて俺は走ってマンションの自動ドアの中に逃げ込んだ。
大した運動もしてないのにぜーぜーいってたから一息ついた。
後ろを見るのが怖くて、自分の家にも腰抜けて帰るに帰れなくてそのままへたりこんでた。
30分ぐらいそうしてたのかな
恐る恐る後ろ見た。
バスの窓に張りつくように、自動ドアに張りついてこっちを見てるおばさんがいた。
俺はそのまま気を失ってしまった。へたれです
目が覚めた。そんな時間は経ってなかった。
夢だったのかと思ったけど自動ドアに血がついてたことで、現実と認識できた。
うわあああん落ちはないけど実話だよみんなもおばさんとかにはきをつけよう