[神社と石碑と黒い物体]

まだ私が小学生の時によく近所の山で遊んでいた。(ど田舎だった)

ある日友達(仮にNとします)と裏山に遊びに行ったんだ。いつもと同じ場所じゃつまらないから違う場所に行ったのよ。

崖登りをしながら遊んでいたらNが遠くの林の中に神社を見つけたのね。
崖登りも飽きてきたからその神社に行ってみよう!ってなったんだ。

二人で神社の方向に歩くんだけど、小学生で歩く速度が遅いからか、森の中で歩きにくいからか全然神社は見えてこなかったのね。

私もNも飽きっぽいから普通なら諦めるのに、何故か二人とも黙々とその神社に向かって歩き続けたんだわ。
今考えたら呼ばれてたのかなって思う。


神社に向かって歩いていた時の記憶が飛んでて思い出せないんだけど、気付いたら神社の前にいたんだわ。

でも、着いてみたら神社っていうより祠って言うの?よく分からないんだけど神社っぽくなかった。

んで、来たからには調べてみよう!ってなったんだけどNが恐がりだして、彼女は遠くで見てるって言ったのね。

仕方ないから1人で鳥居(のようなもの)をくぐって奥にある本堂みたいな所に近づいていったんだ。

その瞬間足元の空気が変わったのが分かった、夏だったんだけど妙に冷たい空気が足元だけ流れてた。

やばいかなって思ったんだけど、とりあえず後にも引けず本堂に向かって歩いた。

そしたら本堂の隣に小さい膝丈くらいの石碑みたいなのが一つあったんだ。ツタがぐるぐる巻いてあってその石碑がなんなのかよく見えなかった。

私がその石碑とにらめっこしていたら、ようやくNが追い掛けてきて私の隣まで来た。

Nは「なんだ。思ったより普通じゃん」
とか言ってて、最初のビビりはどこへやら、いきなり石碑のツタをむしり出したんだ。止める暇なんて無かったのは覚えてる。

そしたらその石碑には「昭和朋子」って薄く掘られてた、左下にも何か書いてあったけど、あまりにも削れてて読めなかった。

Nは「昭和朋子ってなんだろ?えらい人かなー」って話してた。
私はだんだん気持ち悪くなってきて、帰ろうって言ってもNは帰ろうとしなかった。
むしろ「ここには何か宝がある!」とか言い出して、1人で本堂の周りを調べ始めてた。

本堂には立派な鍵がかけられてて、中には入れないようになってたんだ。

日も暮れ始め、本気で足元の空気が冷たくなりはじめた。
私はいくら帰ろうと誘っても本堂に侵入しようと躍起になってるNは聞いてくれなくて、仕方ないから1人で先に帰ったんだ。(Nの同意は得ました)


その夜どうにも体のだるさが抜けなくて早めに寝ることにした。


夜中に暑くて寝苦しくて目を覚まし、トイレに行こうとしたけど体が動かなかった。
いわゆる金縛りです。
ビビりまくった私はどうにか動こうと力を入れた瞬間

「ゴトン」って音がした。

「えっ」と思って音のした方向を見ようとしたら。

何かが頭の上、ちょうど視界には入ってこない位置に何かがいるのが分かった。

怖くなって目を瞑ったんだけど、好奇心で少し目を開けてみた。

続く