[捨て台詞]

電車で座ってうたた寝してたんだけど名前を呼ばれた気がしてハッと目が覚めた。
そしたら吊り革の上に黒い煙りと言うかもやがかかってた。
寝ぼけてるのかな、何だろうと目を凝らして見ると、どす黒い顔の女の顔だった。しかも見覚えがある。
はっきりした発音でその女は言った。
「焼かれて死ね」と。
乗客は疎らだったが誰にも見えてないし聞こえてないらしく誰も反応しない。
その女は昔バイト先でちょっと因縁があった子なんだけど俺の彼女に危害を加えて執行猶予中。
怖かったけどコイツにだけは負けたく?ねぇと思い、「お前なんかに焼かれるか」と睨み付けた。
声に出したから乗客の数人が不審な目でこっちを見る。
ふ、と黒い煙りが消えて汗がどっと出た。
恥ずかしくなって次の駅で降りたら一緒に降りた30代くらいのサラリーマンが話しかけて来た。
「よく頑張ったね。くれぐれも火には気をつけてね。それと、お寺や神社へ相談したほうがいいよ。」
その人はそれだけ言って去ったけど、見えた人が居たって事は夢じゃなかったんだな、と思った。
忙しくてなかなか寺に行けないけど、今の所実害は無いです。
やっぱ行った方がいいかな?二週間くらい前の話しです。


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